【調査取材】勝負運アップのパワースポット「ねずみ小僧の墓」で必勝祈願してきた

2018/11/19

特集

  • ekoin00
    突然ですが、ピンチです。近頃、負けに負けているP-Summa編集部員、すっかりツキに見放されております。以前にパチンカー御用達の入登山神社に行って必勝祈願をした後は、なかなか好調だったのですが……。
    もともと極度のヒキ弱なので、あの時のご利益をもう使い果たしてしまったのかもしれません。

    もう一度、都内から長野県まで行くのはちょっと大変……ということで、近郊で勝負運が上がると言われているパワースポットを探してみたところ、ありました!
    その名もねずみ小僧の墓‼
    ねずみ小僧といえば、貧しい庶民にお金を配っていた義賊として知られています。自業自得というのは百も承知ですが、今やすっかり貧しくなった編集部員。どうにか、そのご利益にあずかるため、ねずみ小僧の墓を祀っているという東京都墨田区にある回向院(えこういん)を訪れてみました!

    ねずみ小僧の墓を祀る「回向院」に行ってみた

    ekoin01
    JR総武線両国駅を出て、国技館と逆方向に徒歩3分、立派な山門が見えてきました。
    ここが回向院です!
    すぐにでも勝負運をチャージしたいところですが、そもそも何故この回向院にねずみ小僧の墓があり、強運の象徴とされるようになったのでしょうか?
    そして、必勝祈願の正しい作法とは?
    お参りをする前に、きちんと由来を知っておきたいということで、副住職の本多さんにいろいろとお話を伺いました。

    ekoin02

    こちらの回向院は明暦3年(1657年)、10万人を超える被害者が出た「明暦の大火」をきっかけに、幕府によって建てられました。当時は「寺院法度」という決まりにより、罪人にお墓を建てることができなかったのですが、無縁寺である回向院は「生あるすべてのものへの仏の慈悲を説く」という理念に基づき、罪人の亡骸も受け入れていたそうです。

    ねずみ小僧が活躍したのは回向院ができてからおよそ150年後、江戸時代後期のこと。
    「10両盗めば首が飛ぶ」と言われるほど盗みが重罪だった当時、ねずみ小僧は12000両(!)もの大金を盗んだのだとか。それほどの盗みを働いているにも関わらず、なかなか捕まらなかったことが、ねずみ小僧が強運の象徴とされる一因のようです。

    ちなみに、当時の1両を現在の紙幣価値に換算するのは非常に難しく、さまざまな説があります。1説によると1両=約75,000円とのことなので、12000両と言ったら、およそ9億円……!?
    あくまでも1説ですが、とんでもない額です……!

    ねずみ小僧は義賊ではない!? その実態とは?

    ekoin03
    ねずみ小僧はお金持ちから盗んだお金を庶民に配る「義賊」だったとの説がありますが、実際のところはよく分かっていないそうです。捕えられた時、彼の家に財産がほとんどなかったことから義賊伝説が生まれたとも言われています。お金を配っていなかったとしたら、9億円を一人で使い切ったということでしょうか……!?
    ただ、「富裕層ばかりを標的にしていた」という点はかなり信憑性のある話で、被害者の日記も残っているとのこと。

    当時はいわゆる田沼時代。賄賂が横行し、財力が圧倒的にモノを言う時代でした。
    そんな中、富裕層に一泡吹かせるねずみ小僧は、当時から庶民のヒーローだったそうです。盗んだお金を実際に配っていたかどうかはさておき、盗みに入っただけでも痛快だったわけですね。また、その頃は「家人を殺害して強奪する」という残忍な手口が主流だったのに、ねずみ小僧は一度も人殺しをせずに仕事をこなしていた――ということも人気の背景としてあるようです。

    文政6年(1823年)頃から10年近くも盗みを繰り返したねずみ小僧ですが、ついに天保2年(1832年)、日本橋の武家屋敷で捕らえられ、打ち首獄門の判決が下されます。しかし、処刑された後、驚いたことに晒されていたねずみ小僧の首を何者かが盗んで、葬ってもらうために回向院まで持ってきたのだとか。当時の彼の人気ぶりがうかがえるエピソードですね! すなわち、現在残っているお墓は「首塚」ということです。

    ekoin04

    ねずみ小僧は生前、かなりの博打打ちだったそうで、当時の遊び人たちからも絶大な人気がありました。そこで、長年捕まらなかった強運にあやかろうと、墓石を削ってお守りにする博打打ちが後を絶たず、ついには「本墓」と別に「お前立ち」が用意されたのだとか。こちらも浄土宗の作法に則って魂が込められた立派なお墓です。

    墓石を削ってお守りにする由来は残念ながら不明とのことですが、200年近く前から、勝負運アップのパワースポットとして名を馳せていた、ということです!

    現在残っている「本墓」は2代目で、ねずみ小僧が亡くなって数十年の後、墓石の粉をお守りにした人が富くじ(宝くじ)で大儲けし、お礼参りとして建てたものだそうです。墓石の形状も初代の墓石を再現して作ったのだとか。

    一方の「お前立ち」も、商売や博打で成功した人から寄進されるものを代々使っているそうですが、もはや何代目かはわからないそうです。それほど多くの人を成功に導いたということですから、ねずみ小僧のご利益、恐るべし……!

    勝負運アップ祈願! 正しい作法とは?

    ekoin05
    さて、お勉強の時間は終了です。聞けば聞くほど、ねずみ小僧様のご利益は凄まじいということが分かりましたので、続いてはお参りの作法を教えていただきます。

    まずは山門から入っていって正面、回向院の本尊に参拝します。法事などで閉まっていることもありますが、基本的に9:00~17:00は、毎日開いているそうです。

    ekoin06

    ねずみ小僧の墓は本堂を出て右手にあります。浄銭(お賽銭)を投げ入れ、合掌をしてから、「お前立ち」を削らせていただきましょう。削ってから合掌する人がしばしばいるそうですが、礼儀としては、やはり先にご挨拶をすべきですよね。

    ekoin07

    少し力を入れて削ると粉が落ちてくるので、紙などに包んで身に付けます。本堂の売店で専用のお守り袋を扱っているので、こちらを利用するのも良さげです!

    ekoin08

    ちなみに、ここ両国は文豪・芥川龍之介の生誕の地でもあり、彼は著書の中で、本来無縁寺であるはずの回向院が、ねずみ小僧の名所のようになっているのはいかがなものか――といった趣旨のことを書いているそうです。そう言われてみると、自分の勝負運アップのためにばかりお参りするのも、ちょっとがめついような気がしてきました(汗)。

    しかし、本多さんによると、お釈迦様の教えは本来「すべての人は幸せであれ」というものなので、「ねずみ小僧のお墓に手を合わせて幸せになってくれれば嬉しい」とのことです。安心しました(笑)。
    さあ、これで勝負運が再チャージされたはずです! 今度ホールに赴く時には、ここで授かったお守りを身につけ、適度に勝負したいと思います!!

     

    ねずみ小僧の墓は、博打打ちが勝負運アップの祈願に来るだけでなく、水商売の女性が「いい旦那様がつくように」と願掛けに来たり、歌舞伎役者が興業の成功を願いに来たりすることもあったのだとか。
    ねずみ小僧の他にもさまざまな魂が眠っている場所ということを心の片隅に思いつつ、ぜひ回向院を訪れてみてください! きっとご利益があるはずです。

    P-Summa編集部

| TOP |