【取材】大崎一万発主催! オンラインサロン「パチンコ未来ラボ」の実態に迫る

2020/08/21

特集

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    新型コロナウイルスの影響で「人と会って話すこと」のハードルが大きく上がり、さまざまな分野で「オンラインサロン」が立ち上がりました。パチ業界も例外ではなく、有名ライターさんや演者さんが次々とサロンを開設し、ちょっとした「オンラインサロンブーム」が起きています。

    そんな中、ひと際目立っていたのが「パチンコ未来ラボ」
    主宰はあの大崎一万発さんで、「パチンコ業界関係者向け」と謳われており、他のオンラインサロンとは明らかに毛色が違います。単なるファンクラブではなく、危機感を共有する仲間たちが交流し、学び、意見を戦わせ、その中から“パチンコを元気にする”アイディアやプロジェクトを生み出したい、というアカデミックなサロン。
    では、具体的にどんな方法で議論をしているのか? 気になったP-Summa編集部員。ダメ元で取材を申し込んだところ……なんと快くOKをいただきました。ありがとうございます!
    ということで、制作委員会の松浦さんとKOBAさん、そして一般のユーザーで参加されているOさんとMさんにオンラインでお話を伺います。

    「パチンコ未来ラボ」誕生までのプロローグ


    ――本日はよろしくお願いします。まず、制作委員会のお二人は、パチンコ業界でどんなお仕事をされてきたのでしょうか?

    KOBA:私は以前、某販社に勤めておりました。東京支社にて遊技機の営業を17年ほど経験し、本社にて1年間ブランディング、プロモーションを担当していました。現在は独立し、業界関連企業のM&Aの仲介やメーカー様、ホール様向けに情報提供や人材紹介などを行っています。

    松浦:私はずっとプロモーション畑にいました。内容は多岐に渡っていて、遊技機のプロモーションやCSRの取り組み、版権管理、ホールのグランドオープンや人材活用のお手伝いなどです。

    ホールでも3年ほど働いていたのですが、その頃から「自分が獲得したい情報、勉強したいことが会社にいるだけでは学べない」というストレスを感じていました。昔のパチンコ業界は情報統制がしっかりしていて、横の繋がりが歓迎されない雰囲気がありましたからね。ところが、世の中にSNSが出現した途端、業界関係者が次々とアカウントを持つようになりました。

    ――メーカー関係者さんからホールスタッフさんまで、多くの方が情報を発信し、交流するようになりましたね。「パチンコ未来ラボ」を立ち上げた経緯も、SNSの発展に関係しているんですか?

    松浦:そうですね。ただ、SNSでのコミュニケーションは、いわゆるレスバトルとか自己承認の獲得といった質の良くないものになりがちです。勉強したいとか情報を取得したいというポジティブなモチベーションでSNSを始めた方も多いはずなのに、マウントの取り合いになってしまうケースも多々見受けられました。これでは自分の価値を高めたい方にとっては時間の無駄です。

    SNSの他に、無料のオープンチャットのようなものもあって、そういうところは情報の鮮度にはこだわっているのですが、「先に出したもの勝ち」的な雰囲気があり、最新情報は取得できても建設的な議論が行われないため、パチンコ業界の発展には寄与できていません。

    ――今までは松浦さんが理想とするような“場”がなかったということですね。

    松浦:そこで、きちんと勉強と交流ができ、自分の人生や仕事にフィードバックできる場所を作ろうと、「パチンコ未来ラボ」を立ち上げました。オープンしたのは今年の4月1日からです。

    ――オープンの時期的に新型コロナウイルスが関係していると思っていましたが、未来ラボの構想自体は昔からあったんですね。

    松浦:はい。実際にオープンに向けて動きはじめたのは2019年の12月からですが、構想はもっと前からありました。元々は、メーカーの課題解決、ホールでのオペレーション、遊技機の評価などに焦点を当てていくはずだったんですが、コロナの影響でホールは運営できず、遊技機も入らずといった状態が続いたので、「ホールにおけるコロナ禍での対応について」などの議論が増えるかたちとなりました。

    ――では、大崎一万発さんを初代委員長として迎えた理由は何ですか?

    KOBA:パチンコ業界のオンラインサロンの顔となる方といえば大崎さんだと思いました。大崎さんは幅広い人脈を持ちながらも、言いたいことはズバッと言うスタンスを貫いていて、1ユーザーとしてパチンコを愛していて、とても信頼できる方だと思いました。POKKA吉田さんをはじめとした識者の方々に参画をご快諾いただけたのも、大崎さんあっての事です。

    松浦:それと、パチンコ未来ラボは利益をあげるというビジネス的な観点はほとんどなく、メンバーが能動的に関われる場所にしたかったんです。そういった中でご協力いただくには、とにかく「パチンコ愛」が必要……となると、大崎さんしかいません。

    ――お二人とも大崎さんのパチンコ愛に惹かれたわけですね。ネットでは「会費が高い」といった声も見かけましたが、ビジネス目的ではない、と。

    松浦:月額会費を(¥6800-)と高めに設定したのは、参入障壁を上げて、業界に対するモチベーションのある方を集めるのが一つの狙いです。
    そしてもう一つは、価値ある情報を持っている人材を獲得するためです。無料では獲得できない情報の品質と多様性を維持するには、優れた人材が必要です。そこで、パチンコ未来ラボでは業界の中でもバランス感覚に優れた大崎さんを軸に、多種多様なプロフェッショナルをアサインしていきました。

    「パチンコ未来ラボ」のメンバー構成と議論の方法


    ――現在サロンメンバーは何名ほどいらっしゃいますか?

    松浦:運営を合わせて150名ほどです。

    ――どの業種の方が多いですか?

    KOBA:自己申告ですが、入会時にアンケートを取っています。内訳は、

    ホール関係者……47%
    メーカー……12%
    販社・周辺機器業者……8%
    媒体系……12%
    コンサル……6%
    ユーザー……12%
    その他(運営以外の識者・著名人)……4%

    となっています。

    ――パチンコ業界関係者向けとして立ち上げたサロンにも関わらず、一般のユーザーさんが12%もいらっしゃるんですね。

    松浦:ありがたいことに想定よりも多くなりました。元々このラボは一般のユーザー様に何を提供できるかを考えていなかったので、現状を踏まえて、参加者の方々の意見を聞きながら、どういう価値を還元できるか探っています。

    ――ここで一般ユーザーのお二人に尋ねたいのですが、ラボを知ったきっかけと入会の理由は何だったんですか?

    M:大崎さんのツイートを見て、ラボのことを知りました。自分はこの世界でライターを志望しているので、業界のことを知りたいと常々思っていたんですね。そんな時に大崎さんのツイートを発見し、そこからはお金儲けの匂いがせず、パチンコ業界に対する真剣さが感じられたので、入会したいと素直に思いました。

    O:私も大崎さんのツイートがきっかけです。どうして多くの規制の中で、がんじがらめの営業を強いられるのか、答えが得られるかもと思って入会しました。

    ――お二人もある意味、大崎さんに惹かれたわけですね。では、未来ラボでの議論や交流はどんな形式で行われているのでしょうか?

    松浦:基本は文字ベースです。まずトピック(テーマ)が立ち、それに対してメンバーがコメントの投稿を行う、いわゆる掲示板形式ですね。大崎さん、POKKA吉田さんによる月2回の定期コラムが主要トピックの一つで、他にもホール運営の計数管理や新機種の営業シミュレーションなど、さまざまなトピックがあります。

    KOBA:当初、トピック立ては運営者のみが行う設定だったのですが、オープン後に早速、メンバーでも立てられるようにしてほしいとの要望がありました。なので、現在は「メンバー投稿部屋」で自由にトピックをたて、交流できるようになっています。その中にはメンバーさんが運営管理してくれている毎朝10時頃にすべてのコメントが消える「24時間で消滅するスレッド」という一風変わったものもあります。

    ――掲示板形式以外だと、どんなものがありますか?

    松浦:ZOOMを使った議論が月1ペースで行われています。議論と言っても、オフ会に近い雰囲気の意見交換会といったところでしょうか。ちなみに、オンライン飲み会は毎日開催されています。

    ――え、毎日ですか!?

    松浦:夜間に多くて15人ぐらいでやっていますね。月1のほうは30人ぐらいです。大人数のZOOMは混線しがちですが、聴き専の方も多いのでわりとスムーズです。

    KOBA:毎日のZOOMには、稀ですがPOKKA吉田さんや識者の方が参加されることもあります。

    ――メンバー同士、仲が良いんですね!

    松浦:雰囲気は非常に良いですね。ラジオ感覚で、喋りたい人が喋って聞きたい人が聞くみたいな、真剣なテーマを扱うときも、いい意味でゆるい感じにやっています。実は、トピックでの議論もゆるめの雰囲気で進行することがほとんどです。

    KOBA:基本ZOOMでの交流は飲み会形式ですが、ゆくゆくはトピックでの議論をZOOMに発展させることを検討しています。文章のやり取りと会話では伝えられるニュアンス、情報量が違いますからね。

    ――一般のユーザーさんから見て、未来ラボの雰囲気はいかがですか?

    O:Twitterなどではマウントの取り合いがよく見られますけど、ラボの方々は大人という印象です。パチンコ業界関係者向けということで、当初は、「見下されるかも……」と心配していたんですが、エンドユーザーに対しても優しく接してくれますね。どなたも建設的な話をされていて、非常に勉強になります。

    M:運営さんや有識者の方が立てるトピックはハイレベルなテーマで、ユーザーが立てるトピックはゆるめの雰囲気という感じです。ハイレベルなトピックでわからなかったことをゆるめのトピックで質問できるのが良いですね。SNSや匿名掲示板のような荒れ方になることはほとんどなく、さまざまレベルの方が一緒に勉強できる環境だと思います。

    CSRに風営法・夢の遊技機開発? 白熱する議論


    ――今までで最も盛り上がったテーマは何ですか?

    松浦:記憶している中では「PR」に関する議論です。
    緊急事態宣言が出た頃、パチンコ業界に対する世間の目は99%批判的でしたよね。私はこのことを業界としてCSRのPRをしてこなかった弊害だと考えています。何千万~何億円もかけたCSR活動を行っているのに、業界紙にしか載らないので、世間にはほとんど知られていません。
    誰かが口火を切って、パチンコ業界以外の方に知っていただけるよう、行動すべきだと思うのですが、「やぶ蛇になるのではないか」「現状で十分では?」など、色々な意見が出ました。

    ――ボランティア活動とか寄付とか、社会に貢献できることをたくさんやってはいますからね……業界人向けの難しいテーマだと思います。逆に一般ユーザー枠のお二人にとって、興味深かったテーマは何ですか?

    O:CSRの話もそうですが、これからどんな風に業界を良くしていこうか、などの未来を見据えたテーマに関心があります。現状の法規制の中でどんなことが可能か? という議論は、特に興味深かったです。

    M:風営法をテーマにPOKKA吉田さんと木曽崇さんがレスバトルっぽいことをされていて、それをリアルタイムかつクローズドで読めたのは貴重な体験でしたね。スマホで議論を見つつ、わからなかった言葉をPCで調べるということをやっていました。

    ――皆さん、意外と法関係の話に前のめりなんですね。

    KOBA:法律や政治に関するテーマは、遊技機に関するテーマと並んで、コメント数が多いですね。

    ――遊技機と言えば、「パチンコ未来ラボで究極の1台をプロデュース」というテーマも長期的メニューの一つとして掲げられていますね。

    松浦:現段階ではあまり具体的になっていないのですが、どこかのタイミングで深掘りしていきたいと思っています。「究極の1台」に関するコメントは既に300以上あって、かなり活発に意見交換がされていますね。

    ――「プロデュース」というと、具体的にはどういう形になるんでしょうか?

    松浦:サロンメンバーのコネクションを使って、どこかのメーカーに企画として持ち込むかたちになるでしょうね。こういった「架空の機種」の話題って、匿名掲示板だと夢物語みたいな話になりがちですが、我々は規制や試験について熟知しているので、極めて現実的な議論になります。

    ――それは面白そうですね!

    KOBA:出たアイディアに対して開発部門の方々が、専門知識を交えて答えてくれるので、その回答を見るだけでも楽しめると思いますよ。サロンメンバーなら過去のトピックをすべて遡って見ることもできます。

    「パチンコ未来ラボ」今後の展望は?


    ――「パチンコ未来ラボ」の今後の展望をお聞かせください。

    松浦:世間の風当たりが強くなっている中で、パチンコ業界にどう寄与していけるかを常に考えています。「業界を盛り上げたい」と口で言うのは簡単ですけど、具体的にはどういうことなのか、追求していきたいです。

    ――ラボの参加者数についてはどうお考えでしょうか?

    松浦:基本的には増やしていきたいです。ただ、現状の管理運営能力では300がMAXです。もしそれ以上増えるようなら、運営の人員を増やすなり何なり、新たな手立てが必要ですね。

    ――ユーザーのお二人は今後、「パチンコ未来ラボ」でどのようなことをしたいですか?

    M:ラボで知り合ったメンバーと実際に仕事ができたらいいですね。自分自身はライター志望ですが、ライター業に限らず、業界に貢献できるような仕事がしたいです。

    O:私は「障がいを持った方でも打てる台」が夢なんです。今のパチンコって右手でハンドルが握れないと打てませんよね。多くのホールが車椅子には対応してくださいますけど、ハンドルはどうにもなりません。「右手が不自由な方でも打てる台」に関する議論が業界の方々の目に留まって、いつか乗り気になってくださったらいいなと思っています。

    ――最後に、運営さんから皆さんにメッセージをいただけますか。

    松浦:まず、グレーな業界ではなく、法的に何ら問題ない世界だと知っていただきたいです。コロナの影響で風当たりが強くなりましたが、その中で正しい理解も進んだと認識しています。今楽しんでいる方には、今後も長く遊んでいただきたい、まだご存知ない方には、興味を持っていただけたらと思っています。

    KOBA:パチンコ未来ラボは、自分自身のやりたいことをカタチにするための自己実現の場です。詳細は言えませんが、未来ラボメンバー間での不動産マッチング成功例などもあります。未来ラボ発! ライターとしてデビューする方もいるかもしれません。また、メンバー同士で新たなビジネスを立ち上げる構想もあるようです。今は自分ではやりたい事が見つからないけど業界内で何か動くきっかけが欲しいという方は是非入会していただきたいと思います。

    ――パチンコ業界が本当の意味で良くなっていくといいですね。本日はありがとうございました!

     

    オンラインサロンが乱立する中、「パチンコ未来ラボ」はその名の通り、パチンコ業界の未来を見据えた非常に真面目な、それでいて和気あいあいとしたラボでした。「究極の1台」を含め、今後どんな成果が生まれるのかとても楽しみです!

    P-Summa編集部

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