【取材】ライターや声優を起用!ホール店内アナウンス「P-VOICE」を調査してみた

2021/08/27

特集

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    パチンコホールの開店や閉店のご挨拶、感染対策の注意喚起など、私たちが普段ホールで何気なく聴いている店内アナウンス。魅力的な声だとつい聴き入ってしまいますよね! その声、もしかしたらプロの声優さんのものかもしれません。今年5月にパチンコホールに特化した店内アナウンスの音声素材ダウンロードサイト『P-VOICE』がオープン!

    声を吹き込んでいるのは声優やパチンコ・パチスロ関係の人気ライターで、無料登録で100(!)、有料会員になれば600以上のボイスが使い放題となっております。新台案内のボイスも続々追加されており、ホールで本当に人気のある(大切にされている)機種ほど、該当するボイスがダウンロードされているのでは? と仮定したP-Summa編集部員。P-VOICEに関するアレコレを運営元である株式会社イロドリの嶋崎さんにオンラインで伺いました!

    『P-VOICE』誕生の経緯とは?


    ――本日はよろしくお願いします! 早速ですが、まず『P-VOICE』が生まれたきっかけを教えてください。

    弊社では以前から声優さんとのお仕事を色々とやっていて、お付き合いのあるホール様には個別で店内アナウンス用ボイスを提供していました。アナウンスって「カウンター業務」の範疇なんですが、「アナウンスと接客がバッティングしてしまう」とか「朝のアナウンスのためだけに早番スタッフを雇っている」といった悩みを聞いていたので、ボイスに需要があるという実感は以前からありましたね。

    ――感染対策の注意喚起とか、一種のコロナ対策として考案されたわけではなかったんですね。

    そうですね。でも、コロナ禍で人件費を含めた経費削減が必要になった……というのは大いに関係しています。ホール様に個別でボイス提供を始めたのはだいたい10年前、アニメ版権のコンテンツが急激に増えてきた頃でした。提供先の店長様からは「やはりプロの声優がやると違いますね」なんて反響もいただいたりして、需要があることはわかっていたんですが、他の仕事との兼ね合いでなかなかスタートできない状況だったんです。
    ですが、コロナ禍になって「サブスクでやれば経費削減のお手伝いができるのでは」という考えも生まれ、サービスを開始すべく、今年の頭に声優さんたちにお声掛けしました。

    ――以前から温めていた企画をコロナ禍で一気に立ち上げたわけですね。

    実は、「フリーランスの声優さんにお仕事をお渡ししたい」っていう気持ちもあったんです。彼ら彼女らも今、非常に厳しい状況に追い込まれていますからね。少しでも手助けになれば……と。

    ――素晴らしい……! いちアニメファンとして尊敬します。

    店内アナウンス用ボイス制作のこだわり

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    ――『P-VOICE』のサイトを作る際、こだわったことはありますか?

    サイトに関しては無駄な機能をつけず、とにかくシンプルにするよう心掛けました。ボイスの再生とダウンロードさえできればOKで、他のコンテンツは不要と考えています。

    ――では、ボイスについては?

    お店ごとのカラーを出せるように、同じセリフのボイスでもいろんな声優さんに吹き込んでいただいて、何パターンも作成しました。たとえば「女性アナウンサー風」というコンセプトの中でも複数のパターンがあります。

    ――店内アナウンスは男性より女性の声のほうが需要があるのでしょうか?

    そうですね。声が通るからだと思います。でも、意外と男性の声も利用していただいてるんですよ。特に「注意喚起」のボイスは、力強い感じが良いのか、男性の声が多くダウンロードされています。注意は低くて強い声のほうが良いのかもしれません。学生時代、女の先生より男の先生に叱られるほうが怖かったじゃないですか(笑)。

    ――確かに(笑)。

    でも、もちろん女性の注意喚起ボイスも用意していますし、とにかく色々揃えてあるので、「まずはお気軽に試してみてください! 」という感じですね。

    ――「アイドル風」や「イケメン執事風」などユニークなコンセプトのボイスが数多く並んでいますが、これらのコンセプトはどのように生み出されましたか?

    私自身、声優さんが好きなんです。「萌え系をメイン機種にしているホールはアイドル風が合うんじゃないか」とか「低貸しメインでマダム層に人気のホールならイケメン執事風の声が癒しになるんじゃないか」という具合に、声優ファンの目線で考えましたね。とは言え、キャラの濃いボイスばかりでは使いにくいでしょうから、ベースとして「アナウンサー風」を用意しました。

    ――一番多くダウンロードされているのは、どのコンセプトですか?

    一番はアナウンサー風、次点でアイドル風ですね。

    ――閉店くんやシーサ。氏を起用した理由は何ですか?
     


    お二人とも、話し方に特徴があるんです。「えいえい! 」を聞けば誰でも「閉店くんだ! 」ってなりますし、以前からずっと「閉店くんが閉店アナウンスしたら面白いよね」って思ってて(笑)。シーサ。さんの落ち着いた声も聞けばすぐピンと来ますよね。元店長なのでアナウンスは絶対上手いはずという確信もありました。

    ――他にもライターさんのボイスを増やす予定はありますか?

    具体的にはまだ申し上げられませんが、声をかけようと思っている方は何人かいます。

    ――ちなみに、サイトの中でも異彩を放つ「とあるキャラ風」というのは……?

    名前は言えません。某芸能関係の方とだけ……(笑)。

    「新台案内」ボイスのダウンロード傾向は?


    ――ホールでの新台アナウンスと言えば、一昔前なら煽ってナンボの「マイクパフォーマンス」でしたよね。ボイスにも「新台案内」の素材がありますが、そのあたりはどうなっていますか?

    煽るような表現にならないよう、できるだけ注意を払って準備したつもりではあります。射幸心に関する取り締まりは地域差があって、多少煽るようなことを言っても大丈夫な地域もあるんですが、使える地域と使えない地域が出てきてしまうのは良くないと考えました。全国で使える、オーソドックスなものを作成しています。

    ――新台案内ボイスのセリフはどのように書いていますか?

    個別に作っていた頃のものをベースに、知り合いのライターさんにチェックしてもらいつつ作っています。ポイントは「今、お店にいらっしゃる皆さん」という呼びかけですね。お客様に「今、この場にいるから耳寄りな情報が得られる」という特別感を繰り返し体験していただくことが大事なんです。ご存知の通り、記事とか広告って継続してやらないと効果がありませんからね。

    ――今は次々と新台が出てくるわけですが、その全部に案内ボイスを作成していくのでしょうか?

    全機種、最速導入に間に合わせるのはさすがに難しそうですが、なるべく手広くカバーしていくつもりです。新台って必ずしも「リリース日に導入される」とは限らなくて、いろいろな事情や戦略で少し遅れて入ることもあります。あくまでもホールに入った時がそのお店にとっての「新台」ですから、リリース日から多少遅れても、新台案内ボイスはお役に立てるはずです。

    ――新台案内ボイスが使えるのは原則として有料プランですよね。無料プランのラインナップに「ベルセルク無双」や「牙狼」が入っているのは、ホールからのリクエストが多かったからですか?
     


    リクエストというより、ホールでの良い評判をたくさん聞いたので、試しに無料化した感じです。実際にこの2機種のボイスはダウンロードされていますね。ほかにもいくつかの新台案内ボイスを無料化していますが、やはり稼働が良い機種ほどダウンロードされる傾向にあると思います。

    ――今はホールで評判の良い機種を無料化という流れだと思いますが、今後はボイスのダウンロード傾向からホールでの人気機種が分かるようになったら面白いですね。ちなみに、無料登録で100ボイスも使えるというのは気前が良過ぎたのではないでしょうか?

    実際に使っていただかないと良さがわかりませんからね。こういうのは出し惜しみしても仕方ないんです。これからどんどんボイスを追加していく予定ですし、100はそれほどすごい数とは思っていません。

    ――とは言え、100もあれば基本的なものは全部揃っていそうですね。

    ええ、十分やれてしまうと思います。開店・閉店から注意喚起まで網羅していますからね。

    ――無料でスタッフの業務を軽減しつつ、安定したアナウンスを流せるなんて、相当お得だと思います。

    先ほど「店ごとのカラーを出せるように」という話をさせていただきましたが、一番鮮やかにカラーを出せるのは「カスタマイズオーダー」なんです。カスタマイズなら店名も入れられますし、有名声優へのアテンドもあり得ます。相当色々なことがやれるので、楽しいと思いますよ。

    ――個別対応でボイスを作られていた時はどんなオーダーがあったんですか?

    「涼宮ハルヒ」がブレイクした時は、もうそのまんま「ハルヒっぽい声が欲しい」と言われて、ツンデレ風の店内アナウンスボイスを作りました。非常に評判が良かったですね。流れるとスタッフの方々もついニヤニヤしてしまったそうで……(笑)。オーダーは「○○に寄せてほしい」という形が多いです。

    目指せ5000ボイス! 今後の展望を聞いてみた


    ――最後に、今後の展望をお聞かせください。

    今後は新台案内を中心に、次々とボイスを追加していきます。おそらく、1000ボイスはすぐ届いてしまうでしょうね。できるだけ早く5000ぐらい揃えて、ホールのアナウンスなら選り取り見取りという状態にしたいです。

    ――5000……!

    今のところ無料プランの登録が多いですが、グリーンベルト様にご紹介いただいた際、当初想定していたよりもはるかに多いご登録があったんです。それで、「凝った店内アナウンスが好きな方々は大勢いる」と感じました。『P-VOICE』は私自身がやりたくてやっているところがあって、自分が面白いと思って作ったものを現場で使っていただけるのは嬉しいですね。

    ――声優ファンとのことでしたが、もはやクリエイターの感覚ですね。

    これからもノウハウを蓄積して、P業界の声の仕事は「イロドリ」というイメージが付けば良いなと思っています。

    ――今後どんなボイスが追加されるのか楽しみにしています。本日はありがとうございました!

     

    会員登録なしでもボイスサンプルは再生できるので、気になった方はぜひ聞いてみてください。「閉店くんの閉店予告」も聴くことができます(笑)。今後、あなたが応援しているライターさんのボイスも追加されるかもしれません。映像技術が発達して、視覚情報が膨大な今だからこそ、耳から入ってくる情報という分野には大きな可能性を感じました。

    P-Summa編集部

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