パチンカーやスロッターの間で絶えることのない「遠隔操作」の噂。大きなハマリが続けざまに来たり、単発大当たりが続いたり、そんな時に限って隣の人が、オスイチからの爆連チャンをしたりすると、「店が何か不正な操作をしているのではないか!?」と、疑ってしまいたくなることも……。ならばと思って、店員さんに気に入られるよう、背筋を正してお行儀よく打っても、結果は変わらず……。
パチンコは完全確率であって全ては偶然だと言う人もいれば、「ホルコン」で大当たりを操作されていると主張する人もいて、ネット上では長い論争が続いています。
遠隔操作は、ただの都市伝説なのか? それとも実話なのか?
真相に迫るべく、ホールコンピュータを開発している株式会社マースエンジニアリング様に取材を申し込んでみました!
取材に応じてくださったのは、営業企画部の椿さんです。不躾ながらP-Summa編集部は、いきなり核心に迫る質問をしてしまいました。
――単刀直入に聞きます。ホールコンピュータによる遠隔操作は実在しますか?
遠隔操作は都市伝説でしかありません。メディアが面白おかしく囃し立てたり、SNS上でいかにもそれらしく書き込まれたりしていますが、そもそも遊技台は、規則で外部から介入できないようになっています。
――物理的に不可能ということですか? では、なぜ遠隔操作の噂は絶えないのでしょうか?
負けてしまった時や大ハマリをした時に、不正を疑いたくなるのだろうと思います。パチンコは負けた時の印象が強く残りやすいものですから。1回転で当たることも、1000回転以上ハマることも当然あり得るわけですが、長いスパンでデータを集計すれば、ほぼスペック通りの確率に収束していきます。それも、ホールコンピュータのデータを見れば明らかになります。ある一時期に大当たりやハマリが集中して起きたとしても、それは確率がつくる偶然なのです。
――会員さんや常連さんを贔屓しているとか、シマ単位で売り上げをコントロールしているという噂もありますが、そこのところはどうなのでしょう?
本当にそんなことができてしまったら、多くのお客様が離れてしまい、商売として成り立ちません。お客様も敏感なので、何か怪しいと感じたらそのお店には来なくなりますので、そのようなことは、まったくありえませんね。
――不正な機器やコンピュータを使ったホールが摘発されたというニュースも過去にありましたが……。
『ホールコンピュータ』で、不正な操作をしたという報道は出ていないはずです。
「ホルコン」や「ホルコン攻略法」という言葉が一人歩きして、遠隔操作が可能であるかのように言われていますが、ごく一部のホールの不正行為と『ホールコンピュータ』は無関係です。『ホールコンピュータ』には、遊技台を操作する機能が付いていないのですから。
――ならばホールコンピュータとは、どのような機能を持ったものなのでしょうか?
ホールコンピュータは遊技台のデータを収集・管理するものです。どの台にお客様がいくら投資して、何回転遊技して、大当たりで出玉がどれぐらいあったか――といった一連の流れがリアルタイムで把握できます。
データランプやスランプグラフのデータ表示は、ホールコンピュータが収集した情報が元になっています。パチンコホールには、他にも『景品管理コンピュータ』や『会員管理コンピュータ』などもあり、『ホールコンピュータ』は、それら管理システムの一つにすぎないのです。
――確かに『ホルコン』という言葉が一人歩きしていますね。
では、ホールコンピュータで収集したデータは、ユーザー様への情報開示以外だと、どのように役立てられていますか?
パチンコホールを運営していくには、店全体の状況を正確に把握することが不可欠です。
例えば、遊技台を入れ替える際の選定に役立ちます。自店でのデータがないと、全国的な稼働状況に頼ることになっていまいますが、客層はホールによってさまざまなので、全国データと自店の傾向が一致するとは限りません。ホールコンピュータの正確なデータがあれば、常連様が好んで遊技する機種とか、稼働がついているように見えて実はお客様の入れ替わりが激しく滞在時間が短い台などが分かり、入替の指針になります。
――でもそれだと、常連=会員のお客様のデータしか分からないのでは?
マースエンジニアリングでは、プリペイドカードを利用して、ホールの会員様だけでなく非会員のお客様の動向も把握できる独自のシステムを開発しています。一般に、会員と非会員の比率は2:8と言われているので、いかに非会員のお客様にも楽しんでいただくか、ということをホールは常に考えて、台の選別などを行っているのです。
――ホールコンピュータは、データを収集・管理するものということは分かりましたが、他にどんな機能が付いているのですか?
実はホールのデータ収集だけでなく、お客様の安全を守る役割も果たしています。台の設計よりも明らかに出玉が多過ぎるというような、怪しい挙動を検知することができるので、ゴト行為への対策・抑止力になっています。もし、ゴト師がホールに居たら、ユーザー様は不安に思いますし、それこそ公平な遊技ができなくなってしまいます。
――言われてみれば……ゴト師が隣で打っていたらと思うと怖いし、爆連チャンしようものなら、正直、悔しいですしね。
そうだと思います(笑)。ホールコンピュータに限らず、弊社の開発した製品は、お客様に安全・快適・公平な遊技をしていただくためのものです。技術の進歩により、今まで実現が困難だったサービスも提供できるようになりました。
――例えば、どんなサービスが可能になりましたか?
セキュリティの強化という意味では、弊社が開発した管理システムとユニットが一体化した『ユニコン』は、プリペイドカードを抜かずに離席してしまった時に盗難防止のロックをかける機能があります。また、利便性向上のために、会員カードと紐づけしたスマホでの貯玉・再プレイが可能となりました。
――他にも新たなに開発された製品はありますか?
店舗スタッフ用に開発されたウェアラブル端末は、インカムで起こりがちな『聞き逃し』によるミスを防ぎ、お客様の呼び出しやトラブルに迅速に対応できるようになっています。これも質の高い接客を実現し、お客様に快適な遊技をしていただくためのものです。
――これらはお客様のことを考えての製品、ということですね?
もちろんです。弊社に限らず、ホールコンピュータを扱っている会社はどこも、ホール様とお客様に対して何を提供できるかということを考えています。お客様に喜ばれるお店づくりをすれば、不正な機器など使わなくても、ホールはきちんと利益を上げることができるからです。お客様に対して、不利益になるものは提供致しません。
ホールコンピュータは、一般ユーザーが普段目にする機会がないだけに、何やら密かに悪さをしているものというイメージを持っている人もいます。しかし、その実態は、不正を働くどころか、逆にゴト行為などの不正を防止し、お客様が安心して公平に遊べる環境を守ってくれるものでした。今後、ホールで大ハマリや大負けをしたとしても、遠隔操作を疑うのではなく、自らの運のなさを疑うようにしたいと思ったP-Summa編集部員でした。
P-Summa編集部