皆さん、推しのVtuberはいらっしゃるでしょうか? 山佐公式の虹河ラキちゃんが活動再開したり、777パチガブ専属バーチャルライターの上乗恋ちゃんが専用チャンネルを開設したり、にじさんじがパチスロ動画を配信したり……と、パチ界隈でも「V」がどんどん身近なものになってきました。そしてついに景品交換所にもVtuberが!?
景品交換所が未来になってた pic.twitter.com/zm4xiYfUgv
— 高貴なる狐/body@えろいメカバレFANBOX (@body_lj) September 24, 2021
今年の9月に話題となったこの投稿。実はVtuberではなく、特殊景品やその読取機等を取り扱う東和商事が開発した、デジタルサイネージコントロールシステム「DigiCo(デジコ)」というもの。Vtuber好きのP-Summa編集部員としては、どんなきっかけで、どのようにこの美少女たちを開発したのか? 気になって仕方ありません。ということで、同社の取締役営業本部長の手代木さんと常務取締役の岡本さんにお話を伺ってみました。
――よろしくお願いします! まず、DigiCoを開発しようと思ったきっかけを教えてください。
実は交換所にサイネージを使うのはうちのオリジナルじゃないんですよ。ある交換業者さんが独自にやっているのが業界内で噂になって、弊社に「うちもああいうのやりたいんだけど……」とお話をいただいた形です。
――そうだったんですか!
市販のサイネージにキャラを映しておいて、裏にいるオペレーターがボタン操作で声や動きを出す……という仕組みなら、ちょっと頑張れば交換業者さんでも独自に作れます。しかし、「どうせなら景品真贋判定機と連動させて、完全に自動化できないか」というご相談をいただきまして、開発を始めました。
――それはいつ頃のことですか?
今から3年ほど前になります。とりあえずボタン操作型のものを3ヶ月ぐらいで作って、すぐリリースしましたね。
――そんな昔からあったんですね! 実は最近TwitterでDigiCoの存在を知ったもので、てっきりコロナ関係で接触を減らすために開発されたのかと思っていたんですが、そうではなかったんですね。
最近、景品交換も一つの立派なサービスとして、クオリティを求める交換業者さんが増えてきたんです。しかし、ホスピタリティーの高いプロを雇うと人件費がとんでもないことになりますよね。かと言って態度が良くない人だと、クレームが交換業者ではなくホールのほうに行ってしまうというデリケートな問題もあったりして……。
――悩ましいですね。
そこでサイネージが出てきたわけです。デジタルのキャラクターならサービスの均一化が図れますからね。現在、ボタン操作型のDigiCoは、北は北海道から南は九州まで全国の交換業者さんでご利用いただいています。そして、完全自動型のものを今年の6月からある交換業者さんでテストしていただき、ついに正式リリースの運びとなりました。
――ちなみに、DigiCoの名前の由来は何ですか?
「デジ」タルサイネージ「コ」ントロールシステムを略して「デジコ」です。
――2Dのアニメキャラには一人一人、名前がついていたんですね! 元々は3DのCGキャラだけだったそうですが……。
「かわいいアニメのキャラが欲しい」とのご要望があって追加しました。2Dのアニメキャラは交換業者さんが独自に作っているところがあったので、差別化のために3DCGキャラを気合い入れて作ったんですが……、ちょっとリアル過ぎたのか、怖く見えてしまった方もいらっしゃるようで……。
――いわゆる「不気味の谷」というやつかもしれませんね。
気合いを入れ過ぎて、お礼をする時に見える“つむじ”もこだわって作っていましたね(笑)。
――そこまでリアルなものを作るなら、むしろ「実写」で良かったのでは!?
実は実写という選択肢もあったんです。実写なら一からキャラを作るより圧倒的に簡単ですからね。いくつかのタレント事務所にオファーしてみたんですが、残念ながら応じてくれるところがありませんでした。タレントの卵たちが将来どんな活躍をするかわかりませんから、「景品交換所の子」っていうイメージがついてしまうのは良くないようで……。それで、実写は諦めて、CGやアニメのキャラ開発をスタートしたという経緯があります。
――開発はどんな順番で進めたんですか?
アニメキャラの場合、まずはキャラ設定をして、声優さんの検討とオファー。その後、声を収録して、アニメーションを作成、という感じです。
――アニメに合わせて声を当てるんじゃないんですね。
はい。声優さんにはキャラのイメージとセリフだけを伝えて演技していただき、後からアニメを当てた形です。
――どの子が人気……とかありますか?
一番は美少女系の「ゆりな」ちゃんですね。大体どこの交換業者さんにもいます。二番は純粋系の「いおな」ちゃんでしょうか。美女系の「しいな」ちゃんはちょっと出番が少ないようで……。
――そうなんですか……。個人的にはしいなちゃんと並び打ちとかしたいですけどね! ところで、各キャラの名前はリリース等では公開されていないようですが、何か理由があるんでしょうか?
この名前はあくまで開発上のものなんです。現場で自由に名前を付けてもらって、かわいがってくれたら……と思っています。
――何だかロボットを作った博士のような親心ですね。
そうですね、個人的にはどの子にも愛着があります!
――アニメとは言うものの、立体感が凄いですね。髪や口の動きも滑らかだし、待機中の身じろぎにも個性があって、強いこだわりを感じます。
未来の景品交換所⁉
と話題になっていた東和商事さまのデジタルサイネージコントロールシステム「DigiCo」を取材させて頂きました!
開発時のこだわりとは?詳細は後日、記事にいたします! pic.twitter.com/uhuf3M6i4d
— P-Summa (@Psumma777) November 9, 2021
そういったアニメーションを作るのに膨大な時間がかかるんですが、苦労に見合っただけのものは生み出せたと思っています。
――他に何か工夫した点はありますか?
よくある交換所の窓のサイズに合わせ、43インチのサイネージに写すと人間と同じサイズになるようデザインしましたね。
――なるほど! よく見ると……その、いわゆるスタイルもそれぞれ違うんですね(笑)。
はい。そこもこだわったポイントです(笑)。
――リリース後の反響はいかがでしたか?
最初に導入していただいた際は初日に様子を見に行きました。そこはちょっとクレームの多いところだったそうなんですが、出てきたお客様から「良くなったね」というお声が聞けて、ホッとしました。最近はキャラごとに固定ファンがついているそうで、決まった窓に並ぶお客様もいらっしゃるのだとか……。
――さらにファンを獲得できたら集客にも貢献しそうですね! 今後、完全自動型のDigiCoが広まっていくことになると思いますが、交換業者にはどんなメリットがあるのでしょうか?
先ほど申し上げた通りサービスを均一化できるのが一つ。もう一つは人件費の削減です。現状だとそれぞれの窓口に1人ずつ付いて応対していますが、完全自動型のDigiCoなら1人の管理者で3つ以上の窓口を回すことも可能です。もちろん初期導入費用はかかりますが、人件費は毎日発生し続けるのに対して、DigiCoのランニングコストは電気代くらいしかありませんから、長期的に見ればコストの削減になります。
――雇用やヒューマンエラーの心配をしなくて済むのも大きいですね。景品交換所と言えば、パチンコ業界では2023年10月から適用されるインボイス制度が話題になっていますが、DigiCoは対応可能なのでしょうか?
そこは顧問弁護士と相談しつつ対応を進めました。話題となっているのは交換業者からの納税ですが、インボイス制度には古物商の特例が設けられていて、「相手(ユーザー)の氏名等を省略した独自の台帳でも仕入税額控除の適用が受けられる」というのが関係省庁の見解です。
――では、ユーザーに何か手間や不利益が生じることはないと?
ええ、対応が求められるのは交換業者のみで、ユーザーは今まで通りで大丈夫と言われています。さらにDigiCoには台帳を記録する仕組みを搭載しているので、インボイス制度にも対応済みとなっています。
――最後に今後の展望をお聞かせください。
まずはDigiCoをもっと普及させていくことですね。その上で、インターネットに繋いで衣装や背景を変更できるようにしたいなと。
――いいですね! しいなちゃんサンタコス似合いそう。かんなちゃんは和装も似合いそうですね。さすがに水着はまずいでしょうけど夏は砂浜の背景にしたりして……(以下略)。
色々と夢が広がるでしょう(笑)。それで、もう一つ考えているのが広告の導入です。
――広告!
先ほど実際に操作していただいた際、少し待ち時間がありませんでしたか?
――1分ほどで終わりましたけど、言われてみれば、確かに……。
実際はセリフのタイミングを前倒しするなどして、さらに時短されているんですが、どうしても待ち時間は発生します。列に並ぶこともあるでしょうしね。そこで、近隣の飲食店などの広告を出せないかと考えているんです。
――なるほど! 交換のタイミングで告知されたら「じゃあちょっと行ってみようか」ってなるかもしれません。地域の活性化にも繋がりそうですね。
仮に広告収入が入ってくるようになれば、現状の人件費削減以上の効果が見込めることになります。
――新キャラの追加はあり得るのでしょうか?
まだ具体的な段階ではありませんが、追加もあり得ると思っています。実は男性キャラのご要望が結構多いんですよ。
――ほほう……!? 女性ユーザーの多い地域では需要ありそうですね。私の近くの交換所にDigiCoが入るのも楽しみにしています。本日はありがとうございました!
名前は交換業者さんが付けてくれていい……とは言いつつ、お二人がDigiCoたちを「ちゃん」付けで読んでいるのが印象的でした。いろんなものがデジタル化されていく世の中ですが、人が心を込めて作ったものには人の血が通うのだと思います。景品交換所のニューヒロイン・DigiCo、皆さんのお気に入りはどの子でしょうか?
P-Summa編集部