皆さま、昭和レトロな雰囲気はお好きでしょうか? 昭和後期に生まれたP-Summa編集部員ですが、レトロな街並みを見かけると、なぜかノスタルジーな気持ちになります。物心がついた頃には住んでいた街もそこそこ発展していて、実際に昭和レトロな風景を見て育ったわけではないのですが、何とも不思議な気分です。
今回取材させていただいたのは、昭和の街並みを再現した観光施設「昭和館」。岐阜県の「高山昭和館」と大分県の「湯布院昭和館」、全国に2ヶ所の昭和館があるのですが、どちらの施設にもレトロパチンコが打てる「ラッキー会館」というスポットがあるそうです。では、昭和のパチンコホールを再現したというラッキー会館には、どのような想いが込められていて、どんな台を置いているのでしょうか? そして、昭和館のこだわりとは? 高山昭和館の館長さんにお話を伺いました。
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、昭和館に「ラッキー会館」を作った理由をお聞かせください。
昭和30年代の町並みを再現するにあたり、色々な施設・店舗を並べていく中で、パチンコ屋さんは外せない存在でした。昭和の大衆娯楽として、パチンコ屋さんは抜群の存在感を放っていたんですよ。特にレトロパチンコを置きたかったというわけではなく、町並みを再現するために欠かせないパーツだったということです。
――リアリティーの追求だったんですね。
はい。ですから、設置台もできれば昭和30年代のリアルな手打ち式の台を置きたかったんです。しかし、当時のパチンコ台で、実際に遊べるものとなると、流石に手に入らず……。台は主に平成以降にリリースされた「ターンバック」や「セーフティーセブン」、少し古いものだと「コスモクルーザー」などを設置することになりましたが、無料で打てるようにはしてあります。レトロなアイテムって、置いてあるものをただ眺めるだけではつまらないと思うんですよね。実際に手で触れて遊べるという要素は、絶対に必要だと考えました。
――触れるようにしてあると、色々と不具合も出てくると思いますが、メンテナンスはどうされていますか?
レトロ台に関して専門知識のある人材がいればいいなとは思うんですが、今のところは昭和館のスタッフが独学でやっています。でも、ワイヤーが切れたりプラが曲がったりなど、どうしてもパーツが物理的に消耗していくんですよね。完全に使えなくなってしまった場合は台そのものを入れ替えています。ラッキー会館は当初、パチンコ10台だったんですが、入れ替えの結果、今はパチンコとパチスロが半々くらいになりました。
――レトロ台はどのようにして集めたんですか?
ネットオークションで購入したり、中古機を取り扱っておられるJAC-INさんから買ったりしました。
――おお、ここでもJAC-INさんの名が! ほとんど日本中のレトロ台に関わっていそう……。
――ラッキー会館の設置台は、どのような基準で選ばれましたか?
現在のホールでは扱えないレトロ台で、なおかつ「実際に遊べる」ということを優先しました。その上で、羽根モノやデジパチなど、ゲーム性の異なる台をなるべくバランスよく揃えたかたちです。ちなみに、大分県にある「湯布院昭和館」では、手打ち式のパチンコを個人で所有していた方から一時的に貸与いただいたこともありました(現在は終了)。本当は手打ちがベストなんですけど、探すのは難しいですからね……。
――でも、昭和館にはスマートボールもあるんですよね? 手打ち式パチンコとはちょっと違いますけど、これで手打ち的なものは体験できるように思います。
そうですね。スマートボールも両方の昭和館で設置しています。湯布院のラッキー会館は、スマートボールも含めた設備なので、高山より全体のスペースが若干広めです。また、湯布院昭和館にはビリヤードも置いていて、当初は「四つ球」というゲームをやるためのポケットがないテーブルにしていました。日本にビリヤードが入ってきた当時はそれがリアルだったんですね。今はナインボールが当たり前になっているので、最近ポケットありの台に入れ替えてしまいましたが……。
――知っているルールで遊べるほうがお客さんは嬉しいかもしれませんね。ラッキー会館の内部で、設置台以外で工夫されていることはありますか?
高山も湯布院も、パチスロはメダル不要機で、パチンコも一部は循環式なのですが、玉貸し機と計数機があり、ご自身で玉を借りて、流す体験ができるようになっています。
――現在のホールではどんどんスマート化されていますし、そういったアナログな体験ができる場は貴重ですね。では、ラッキー会館の内装でこだわったことはありますか?
リアリティーを追求するために、なるべく古材を再利用し、古材が使えないところはエイジング加工を施しました。ラッキー会館内も含め、館内のホーロー看板などの装飾はすべて当時のものです。
――レプリカじゃなかったとは……!
中にはお客様から「処分に困っていた」と寄贈されたものもあります。当時の電化製品なども多数展示してありますが、ゆくゆくはこれらも実際に動かして楽しめるようにしたいと考えているんです。
――パチンコ以外も、触って遊べることを重視されているんですね。
はい。たとえば高山昭和館の二階は、昨年まで民芸品を並べているスペースだったんですが、畳の間に改装し、ゲーム機やおもちゃを置いて、当時の「小学生の部屋」を再現しました。懐かしのファミリーコンピュータやゲームカセットも置いていて、もちろん実際に遊ぶことができます。
――ファミコン! これは通いたくなりますね(笑)。
――昭和館にはどのようなお客さんが来られますか?
高山昭和館では、4割ほどが海外からのお客様です。
――そんなに!
コロナ以降、インバウンドが戻ってきているとニュースでも言われていますが、その通りだと実感しますね。
――インスタでも英訳を添えて投稿されていますし、やはりインバウンドを意識されているんですね。
高山昭和館と湯布院昭和館、両館で共通して言えるのは、20~30代のカップルのお客様が圧倒的に多いということです。世代的にレトロ台の打ち方をご存知ないので、我々スタッフが遊び方のご説明をしているのですが、ここで初めてパチンコに触れる方もいらっしゃいますね。皆さま、新鮮なリアクションで楽しまれています。また、ゴールデンウイーク・夏休み・年末年始は家族連れのお客様が増えて、6月頃の時期は修学旅行生で賑わうこともあります。
――では、若いお客さんが多いんですね。
はい。我々としても、ぜひ若い方々に来ていただきたいと思っています。
――その理由とは?
昭和館の意義は、“日本のバイタリティーがあった時代を後世に伝えていく”ということにあるんです。昭和30~50年頃は、今と比べて娯楽が圧倒的に少なかったんですね。当然、スマホもありません。子供は自分たちで工夫して遊び方を考えたり玩具を作ったりしていました。一方、大人の大衆娯楽として、ビリヤードや卓球、そしてパチンコがあったわけです。この頃はこんな風に遊んでいたんだよ……というのを、平成・令和の世代に繋いでいきたいですね。
――今は娯楽に溢れていますが、娯楽の多さ = 心の豊かさ ではないのかもしれませんね。本日はありがとうございました!
ノスタルジーな気持ちでレトロ台を打てるだけでなく、昭和の様々なアイテムを実際に触れて楽しめる「昭和館」。飛騨高山や湯布院へお出かけの際は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか? ここでしか味わえない昭和の成分がきっとあるはずです。
P-Summa編集部
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