今パチンコ業界を震撼させているのが『撤去問題』。2016年2月に第一次撤去回収リスト、同年3月には第二次撤去回収リスト、そして6月には最終版となる第三次撤去回収リストが公表された。日工組(※1)が発表したこれらの撤去回収リスト対象機種の設置台数は72万台を優に超える。
この撤去対象機種の多くが、ホールの売り上げに貢献してきたMAXタイプ(※2)であり、海物語、牙狼、エヴァ、慶次と言った人気コンテンツだ。
ホールのメイン機種として活躍していたこれらの機種を年内には手放さなければならないホール側にとって、撤去問題は経営の危機と言っても過言ではない。
また、撤去後新たに設置される機種はMAX規制が施行されたため、射幸性(※3)が低くなった機種がメイン。遊技人口が減少していると言われている今、さらに業界全体が冷え込むことが予想される。
このパチンコ業界の衰退を食い止めるべく、ホールが取るべき施策はホールがパチンコユーザーに対し、どのような機種を提供するかである。
射幸性に頼ることができなくなったホール側は、人気台のリユース機(※4)や中古機の導入といった、機械代を抑えた「守りの入れ替え」、またMAX規制後に発売される人気コンテンツの新基準機(※5)の設置といった「攻めの入れ替え」の使い分けが課題となるだろう。
一見するとこれらの規制や撤去は、パチンコユーザーにもダメージがあるように見えるが、実はそうではない。
牙狼やエヴァンゲリオン、ルパンと言ったコンテンツの人気と射幸性のあるスペックにあやかっていたホールは、新基準機の導入で射幸性ではなく人気コンテンツをメインに活かさざるを得なくなるからだ。
つまりホール側は集客の手腕が問われる時代に突入し、パチンコユーザーに向けたサービスや機種のラインナップ、釘設定といったユーザーたちが快適にプレイできるホールづくりに徹するしかないのだ。
ホール側にとって大きな打撃を受けるMAX規制や撤去。この状況から脱却するためには、ユーザーを主軸としたホール作りや経営を施策しなければ生き残れなくなるかもしれない。
撤去は年末に終わる予定。2017年からは「攻めの入れ替え」、「守りの入れ替え」を使い分けつつ、ユーザー目線のビジネスモデルを展開しなければならない“ホール経営の新時代”が到来するだろう。
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(※1)【日工組】
「日本遊技機工業組合」の略。メーカー36社で構成する組合のこと。
(※2)【MAXタイプ】
旧高射幸性タイプ(マックスタイプ)は2016年12月までは設置可能。
(※3)【射幸性】
ハイリスク・ハイリターンなスペックでギャンブル性を煽ること。
(※4)【リユース機】
メーカー側が機種を回収したあと、部品を再利用し、機種の枠を利用して新しい型式にすること。
(※5)【新基準機】
2016年5月以降に発売される機種。大当たり確率の下限を1/320までとし、
確変継続率が最大65%の台。