【取材】遊技機メーカー豊丸さんご乱心!?「スペースボックス」販売の真相を聞いてみた

2020/12/23

特集

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    大勢のファンから惜しまれながら撤去期限を迎えた「凱旋」。来年には「沖ドキ!」の撤去も控えており、遊技機の総設置台数を減らそうとしているホールも出てきています。それに合わせて、空いた枠を埋める専用アイテムが色々と登場していますが、その中の一つ「スペースボックス」を今年9月から販売しているのは……まさかの豊丸さん!?

    周辺機器メーカーではなく遊技機メーカーなのに、一体なぜこんなものを作ったのでしょうか? 下手したら自分とこの台が売りづらくなるのでは? 真相が気になったP-Summa編集部員、豊丸産業株式会社の佐藤さんにオンラインで話を伺いました!

    なんで遊技機メーカーが代替品を開発しちゃったの?


    ――本日はよろしくお願いします。早速ですが、「スペースボックス」を開発しようと思ったきっかけを教えてください。

    設置の多い旧規則機の撤去を見込んで、2019年末あたりから開発をスタートしました。大量撤去を強いられる状況で運営を続けていくため、新しい遊技機の購入を控えるホール様も出てくるはず。そこで、安価で空間を創出できるものを提供したいと考えました。

    ――とは言え、豊丸さんは遊技機メーカーですよね。遊技機ではなく代替品を作るというのは……。

    自分で自分の首を絞めているように見えるかもしれません。実際、社内でも紆余曲折あったのですが……最終的には「ホール様とユーザー様あっての遊技機メーカーである」「ホール様に選択肢を提供しよう」ということで、開発がスタートしました。

    ――2019年末から開発を始めたということは、コロナ禍を受けてではなかったんですね。

    はい。ですが、新型コロナウイルスの流行を受け、「ワンランク上のソーシャルディスタンス」というテーマを新たに掲げ、開発をすすめました。パチンコホール様は「密になる」というイメージを払拭し、安心して遊べる環境をご提案できればと思ったんですね。

    「スペースボックス」へのこだわり

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    ――開発中にこだわったことは何ですか?

    よく言われる「ベニヤ」での間引きではなく、ホール様にもユーザー様にも満足いただけるような「高級感」を追求しました。安かろう悪かろうにならないよう、ディテールにもこだわっています。これを使うことで、単なる間引きではなく、飛行機のファーストクラスや新幹線のグランクラスのような体験ができる、「スペシャルスペース」を創出できます。

    ――「ベニヤ」との大きな違いは?

    弊社のスペースボックスは「多機能」です。スマホやタブレットを立て掛けられるスタンド付きのテーブルがあり、「デュアルタスク」が可能となっています。USBポートとコンセントがあるので、スマホを使いながらの充電も可能ですね。


    ――つまり……遊技中にスマホを見ていい……ということですか!?
    あのぶっ飛んでる豊丸クオリティ演出をスルーしてもいいと!?

    もちろん、遊技機の演出をじっくり見てほしいという想いはあります。しかし、最近のホール様をウオッチしてみると、スマホを見ながら遊技している方が半数以上です。若い方だとその割合はもっと多くなります。

    ――確かに、現実はそうですよね。

    ならば、そういった商品があってもいいのではないか……と。正直、葛藤はありましたが、遊技機だけをじっと見ているユーザー様は実際に減っているわけです。市場環境をよく見た上での判断です。

    ――今はスマホで調べれば設定判別要素や演出の信頼度がすぐわかりますからね。

    そうですね。ホール様もスマホが使いやすいようにWi-Fiを設置しているところも多くなってきているわけですし、今や外せないポイントの一つになっています。

    ――棚の構成を「2段」にしたのは、何か理由があるのでしょうか。

    ホール様とユーザー様が、それぞれ“高さのあるもの”を置くことになると想定しました。今、真っ先に思い浮かべるのは消毒用アルコールの設置ですよね。ユーザー様の目線だと、飲み物のペットボトルを置く方は多いと思います。それぞれの利便性を考え、2段に分けるのがいいと判断しました。


    ――カラーはWoodタイプ(茶)とModernタイプ(白)があるようですが、どちらのほうが人気ですか?

    最初にイメージとして告知したのがWoodタイプだったせいか、今のところWoodタイプが人気です。ただ、シマ全体を明るく演出したいホール様はModernタイプを選ばれることもあります。Modernタイプは光を反射するので、シマ全体が明るくなるんです。Woodタイプだと逆にシックな雰囲気になりますね。

    ――「スペースベーシック」という、机や棚がないバージョンもありますね。

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    こちらは「奇数島」で需要があると考えて用意しました。スペースボックスは構造上、遊技機の「左側」専用ですから、一列が奇数のシマでは1ヶ所余りが出ることになります。

    ――組み立てと設置は店舗のスタッフだけで可能ですか?

    はい。遊技機ではありませんから専門の設置業者に頼む必要はありません。組み立て式の家具と同じくらい簡単に組み立てられるので、お一人で作業しても、5分くらいで設置できます。

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    ――現在までの反響はいかがですか?

    様々なタイミングで多数のホール様に、1店舗あたりの導入が10~20台とまとめてお買い上げいただけました。昨今遊技機は1店舗あたりの導入平均台数が少数となってきているので、1店舗あたりたくさんご購入いただいて有り難い限りです。お問い合わせは営業マン経由だけでなく、ホームページやSNSなど、あらゆるルートでいただいており、手ごたえを感じています。

    ――ちなみに、ホールから「なんでこんなの売ってるの?」って、つっこまれませんでした?

    つっこまれることもありました(笑)。遊技機メーカーだよね? と。ですが、スペースボックスの趣旨を説明したところ、ご理解していただけるところもありましたね。

    ――ユーザーからは?

    つっこまれました(笑)。一方で、「こういう環境で遊技したい」というお声をTwitterなどでいただきました。ソーシャルディスタンスの確保が叫ばれている今、ユーザー様が望んでいるのはこういうものなんだと実感できましたね。

    「スペースボックス」開発チームは遊技機の開発もしてるの?


    ――何と言うか、ものすごく真面目にスペースボックスを開発されたんですね……。豊丸さんが真面目な商品を作って、驚かれませんでしたか?

    業界の方にも「豊丸何やってんの!?」とは言われましたね。普段から遊技機も大真面目に作っているんですけど(笑)。

    ――えっ!?「ほのかとクールポコと、ときどき武藤敬司」とか「ソフトオンデマンド」もですか?

    我々としては、いたって真面目に作っているつもりです。

    ――では、スペースボックスの話題からは脱線しますが、遊技機についてお尋ねしてもいいですか?

    どうぞどうぞ。

    ――「ほのかとクールポコと、ときどき武藤敬司」は、一体どこからそんな発想が生まれたんですか?

    まず、最初に決まっていたのは「百人一首がモチーフの台を作ろう」ということでした。弊社はこれまで「将棋」や「花札」の台は作ってきましたが、「百人一首」を題材としたものはありませんでしたので。ただ、「百人一首というモチーフだけではおもしろくないのでは? 」ということで、まず人気モデルのほのかさんを起用しました。しかし、「美女と和」の組み合わせは色々な台が出ていますので、もう一押し欲しいということで武藤敬司さんやクールポコさんにお願いしました。

    ――経緯はなんとなくわかりましたが、人選というか目の付け所がすごいですね……。年明けには『Pワイルドロデオ6750だぜぇ』がリリース予定ですが、実機には登場しないスギちゃんをなぜPVに起用したんですか?


    先に「ワイルドロデオ」という商品名だけ決まっていたんです。これをどうやってユーザー様に認知していただくか考えた結果、「ワイルドと言えばスギちゃんでしょ」ということで、依頼させていただきました。

    ――勢いで物事が決まっていくんですね……。では、新機種開発で一番カオスだったのは?


    やはり『CR豊丸とソフトオンデマンドの最新作』ですかね。百人以上の女優さんに出演していただいたんですが、撮影スケジュールの調整が分刻みで本当にカオスでした。


    ――『CRドキドキガールズスポット』では「おっぱいギミック」を搭載していましたよね。ユーザーは触れないのに触感にこだわったとか……。

    社員を集めて触り心地を議論しました。試作品のギミックも数パターンつくり、素材にはとことんこだわりましたね。

    ――……新機種開発のチームとスペースボックスのチーム、本当に同じ会社の方々ですか?

    両方に属している社員ばかりです。

    ――なんと……!

    おっぱいギミックも販売戦略があって開発されたものです。ユーザー様は触ることができませんが、ホール様は盤面を開けて触ることが可能です。営業マンが台を持って行って、興味本位で一度でも触ってしまったら、購入を決意されるだろうと。

    ――それは販売戦略なんですか(笑)。おっぱい触ったんだから、責任取って! 的な。何というか、おっぱい並に柔軟な会社ですね。

    弊社代表の永野が柔軟な人物なんです。実はスペースボックスも永野の案から始まったんですが、その柔軟さが社員の間にも行き渡っているんだと思います。
    「また豊丸がやらかしたな」みたいな反応はとても嬉しいですね。でも、バカバカしいものやお色気系って、普通に考えていったら形にならないんですよ。大真面目に本気で取り組むことで実現させています。

    「スペースボックス」今後の展望は?


    ――スペースボックスに関して、今後の展望はありますか?

    現行のスペースボックスにオプションという形で、新機能を追加できるよう考えています。USBポートとコンセントは元々付けていなかったんですが、ホール様からご要望をいただいて搭載したんです。どんな機能にニーズがあるか、ホール様やユーザー様の声を収集していきたいと思っています。

    ――豊丸さんらしく、おっぱいギミックをオプション化するのは……?

    スペースボックスは高級感路線なので、そういうのはやりません(笑)。弊社の機種に限らず、色々なメーカー様の機種の隣に置かれるわけですから、普遍性が必要です。まぁ個人的にはとんでもないオプションも作りたいですけどね……(笑)。

    ――変態的なアイディアは次の新台に活かされると期待しています! 本日はありがとうございました!!

     

    実はP-Summa編集部員、インタビュー開始前は「いかにも豊丸さんって感じのぶっ飛んでる方が来たらどうしよう……」と緊張していたんですが、現れた佐藤さんは実に爽やかで、終始ニコニコ。お仕事を心から楽しんでおられる様子でした。ふざけているようで実は大真面目な豊丸産業、今後のご活躍がとても楽しみです!

    P-Summa編集部員

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