2015年6月1日よりパチンコ遊技機における『極端な釘曲げ』を防止すべく、調査が開始されている。
事の発端は、今年1月の警察庁保安課・小柳誠二課長によるパチンコ遊技機の釘問題に対する言及だ。小柳氏は釘の調整に対し、「営業者(ホール側)の身勝手な都合により遊技性能を改造していることが疑われる」、「釘の劣化によるメンテナンスといったものではなく、意図的に遊技性能を改造」と述べ、パチンコ遊技機における釘調整の現状を批判した。
これを受け、調査を実施したのは、随時・無通知の立ち入り検査を行っている「遊技産業健全化推進機構」。対象となるのは、稼働中のパチンコ遊技機だ。また、当立入検査はホールに事前通知しない、「覆面調査」となっている。
しかし、この調査には疑問を抱かずにはいられない。
まずは「猶予期間」だ。『極端な釘曲げ』に対する調査が行なわれ、例え不正が発覚したとしてもホール側には、半年程度もの猶予期間が与えられ、原則行政通報は行なわないという。そして次なる疑問は『極端な釘曲げ』の調査対象のメインとなっているのが、『一般入賞口』という点だ。
この『一般入賞口』というのは、盤面の下部などに設置されている「フロック」と呼ばれる入賞口で、1回入賞すると10個程玉が放出される仕様になっている。フロックに入賞すると、パチンコユーザーの”玉の持ち”がよくなるので、フロック周辺の釘を閉めているホールは少なくないという。
しかし、多くのパチンコユーザーが求めている『極端な釘曲げ』の是正は、出玉に直結する、「電チュー」、「アタッカー」付近の釘であろう。だが、今回の調査では、この2箇所の釘の曲げが是正されるとは明言されていないのが現状である。
現在開始されている『極端な釘曲げ』の調査だが、「遊技産業健全化推進機構」は業界団体や、関係各所に当調査を事前に通知していたにも関わらず調査開始初日の結果を、「残念ながら『遊技くぎ』の状況に改善が認められなかったことを申し添えます」と、発表している。
調査対象となる釘の箇所や猶予期間、調査の効力などを鑑みると、パチンコユーザーが手放しで喜べる状況ではないというのが実情だといえる。