パチンコホールが生き残るための入替え戦術

2016/09/01

特集

  • horu0809
    「倒産」。相次ぐ規制で、この二文字が頭をよぎったホール経営者は少なくないだろう。

    人気スペックのMAXタイプ(※1)にメスが入り射幸性(※2)が抑制、さらに2016年上半期には、3度に渡りパチンコの撤去回収リストが公表された。

    検定を通った台は原則3年間でホールから消える。今回72万台を超える機種が撤去回収リストに挙げられ、パチンコ業界を震撼させたことは否定できないが、撤去される時期が通常より早まっただけと解釈することも出来るだろう。

    一方で、MAX規制は今後のホール経営に予想以上に響いてくると推測できる。
    MAX規制とは、2016年5月以降にリリースされる機種は大当たり確率の下限を1/320までとし、確変継続率が最大で65%としなければならない、というもの。

    これは現行のミドルタイプや一撃性のあるMAXタイプを好むユーザーとしては物足りないスペックである。

    これによりホール側はユーザーが望む機種を提供できなくなり、需要と供給のバランスが崩れることになるだろう。

    打開策はないのか。そのカギは2014年の戦略にある。

    Pachinko_irekae00

    この年はMAXタイプを連続導入し、ユーザーの稼働を牽引。粗利を確保しつつ差玉(※3)を見せたいというホール側の狙い、一撃性を望むユーザーの需要と供給が一致した年だ。

    ここでポイントとなるのが「連続導入」という点。相次いでリリースされるMAXスペックに“ユーザーを馴染ませる”という策が功を奏したと言われている。

    この戦略をうけ、今後メインとなる新基準機(※4)をどのように連続導入し、ユーザーに馴染ませるかが課題となるだろう。

    しかし、ここで留意しておきたいのがコンテンツの扱い方だ。

    Pachinko_irekae

    『海物語』『牙狼』『エヴァ』『慶次』といった大型コンテンツの導入は不可欠だが、新規コンテンツの扱いも軽視してはならない。

    昨今では2000年代に人気を博したコンテンツが相次いでパチンコ化されているが、コンテンツとコラボした機種が、稼働すればコンテンツ自体も評価される、という時代は終焉を迎えつつある。

    つまり新規コンテンツを採用するだけではユーザーはついてこないというのが現状で、併せてソーシャルゲーム、イベント、アニメ・映画といったパチンコ・スロット以外でもコンテンツを展開し、様々な分野で成功しなければ“人気台”の称号は得られない時代となっているのだ。

    これからのホール経営では新基準機の連続導入といったホールの中で完結する戦略だけでは業界の衰退を免れないかもしれない。

    コンテンツ自体を俯瞰で見て、パチンコ・スロット以外の媒体でも戦略を立てなければ、メーカー側の営業にも影響が出てくる事は否めないだろう。

    「連続導入」でいかにユーザーを新基準機に馴染ませるか、新規コンテンツをどう育てるか。これがホール並びにメーカーに課せられた試練と言っても過言ではない。

    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

    (※1)【MAXタイプ】
    旧高射幸性タイプ(マックスタイプ)は2016年12月までは設置可能。

    (※2)【射幸性】
    ハイリスク・ハイリターンなスペックでギャンブル性を煽ること。

    (※3)【差玉】
    「打ち込んだ全ての玉数」から「入賞した時に払い出される玉数」をひいた玉数

    (※4)【新基準機】
    2016年5月以降に発売される機種。大当たり確率の下限を1/320までとし、
    確変継続率が最大65%の台。

| TOP |