【取材】月額4000円で食べ放題!?マルハン併設食堂「ごはんどき」が定額制を導入した理由とは?

2019/10/28

特集

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    マルハンの併設食堂「ごはんどき」がこの夏、一部店舗で定額制サービスを実施! 1日1回、毎日食べても月額わずか4000円(税込)という衝撃価格で、ネット上は一時騒然となりました。
    どんな目的ではじめたのか? 毎日のように来る猛者はいたのか? そして、これから全国展開する可能性は?

    いろいろと気になることがあるP-Summa編集部員。思い切って、ごはんどきを運営するマルハンダイニングに取材を申し込んだところ、代表取締役の窪田さんとごはんどき事業部部長の橋本さんがお話を聞かせてくださいました! 恐縮です、ありがとうございます!

    月額4000円で食べ放題!? 「ごはんどき」が定額制を始めた理由

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    ――本日はよろしくお願いします! 早速ですが、定額制サービスを始めた理由をお聞かせ下さい。

    ご存知の通り、パチンコ・パチスロ業界は縮小傾向にあります。稼働が下がるというのは我々食堂にとっても分母が減るということです。

    ――P-WORLDの登録店舗数も9000を切りましたし、厳しい状況ですよね……。

    はい。今までホールの併設食堂は特別な営業努力をしなくても自然とお客様が足を運んでくださいました。しかし、今後は独自に営業努力をしっかりやっていかないと生き抜いていけません。
    そこで、まず自分たちのことを知るために、とある調査を利用しました。一般の消費者様が指定の店舗で食事をとり、アンケートに答えていただけるというものです。

    調査で来店された方々はパチンコユーザーではなく、ほとんどが一般のお客様だったのですが、「意外においしい」という声がたくさん届いたのです。ちなみに、ホールの併設食堂っておいしそうなイメージはありますか?

    ――ぶっちゃけてしまうと……味はあまり期待しないですね。

    そうだと思います。正直、もっと厳しい評価になると思っていたので、調査の結果は嬉しい誤算でした。飲食店として高いレベルにあるのなら、ホールに頼るばかりでなく、食堂単体でやっていけることはもっとあるはずだと気付きました。

    ――ちなみに、今までは遊技客のおよそ何%ぐらいが食堂に来ていたのでしょうか?

    パチンコホールというのは「稼働率」のデータは取れますが、「客数」が何人だったか集計するのは難しいんです。なので、正確な数字ではありませんが、大体5%ほどです。

    ――私も打ちに行った時は食事を取らないことのほうが多いですが……それにしても5%は少ないですね。

    ええ、極端に低いです。逆に言えば十分に伸びしろがあります。食堂としてのクオリティは高いのですから、まずは知ってもらうことで、客数を伸ばしていけると考えました。

    そこで、昨年はまず「プレミアムフライデー」というのを始めました。月末最後の金曜日15:00以降、通常750円のカツカレーが500円になるというものです。

    「ワンコインなら試してみるか」と感じていただけたようで、かなりの成果がありましたね。ホールには何年も通っているのに、ごはんどきには一度も来たことがなかったという方にもご来店いただけました。このことで、新しい提案をすれば興味を持っていただくことは可能だと確信したわけです。

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    ――つまり、定額制はごはんどきを知ってもらうためにはじめたわけですね。

    その通りです。

    ――すいません! てっきりホールへの集客目的だと思っていました。

    そうではなく、ごはんどき独自の取り組みですね。
    去年から弊社では外部の事業も始めていまして、いきなりステーキ・串カツ田中のFCや、こちら「Scrop COFFEE ROASTERS」の運営など、色々やっております。

    ※当日はScrop COFFEE ROASTERS 青山店でインタビューをさせていただきました。オシャレ!

    今年の7月にはイトーヨーカドー青森店のフードコートで、ごはんどきが初めて外部進出しました。店名は「てんがら食堂」となっていますが、メニューの内容はほとんど一緒です。大変ありがたいことに、このお店も当初の見込み以上の集客があり、外に展開しても十分通用する味だという自信が深まりました。

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    ――ホールの併設食堂に味は期待していない、という方も多いでしょうからね。

    ええ。なので、ごはんどきの味がまだまだ浸透していないのはもったいないと思ったわけです。そこで、まずは知ってもらうための定額制です。
    ちなみにですが、低貸しのパチンコ・パチスロを打たれるお客様は、あまり食堂を利用されないという傾向があります。店によってはメニューの単価がそれなりに高いですからね。しかし、低貸しのお客様はホールへの来店頻度は高いので、食堂にとっては重要な方々です。そこで、定額制にすれば来ていただけるのではないかと考えました。

    ――ひとつ、気になっていたんですが、神奈川エリア限定で実施されたのは何か理由があったんですか?

    店舗数と市場人口の多さですね。あと、個人的に出身地だったというのもあります(笑)。

    総客数5000人増加!? 定額制への反響!

    ――では、定額制への反響はいかがでしたか?

    大好評でした。店舗の規模に合わせて最大50名様までの先着順としていたのですが、早いところで告知から5日、遅いところでも2週間で完売しました。客数は全店合わせて5000人ほど増えています。

    ――それはすごいですね!

    このScropでも先月、コーヒー定額制サービスを始めたのですが、チラシを作っていないのにわずか4日で350件が完売しました。ここは大通りから離れていて視認性が悪く、周りにライバルとなるカフェも多い中、あっという間に売り切れてしまったのです。

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    ――チラシをまいていないということは、口コミでしょうか?

    はい。「話題になる」ということが大事です。あくまでも知ってもらうことが目的ですから、定額制で利益を出そうとは考えていません。利益を確保しようとすると、お客様にとって魅力的にはなりませんから。ごはんどきの定額制が、もし1万円だったら今日も取材に来ていないでしょう?

    ――そうかもしれません(笑)1万円で元を取るって、何回行けばいいの……って、つい計算してしまいますね。

    4000円なら、だいたい6日で元が取れますからね。値段設定の際、「多く来られる方でも、月に14~15日ぐらいだろう」と見込んでいたのですが、最終的になんと平均20日もご来店いただけました。

    ――20日も!?

    お客様に「こんなにサービスして大丈夫なの?」と心配していただくケースもありました。もともと利益を出そうとはしていなかったので大丈夫ではあるんですが、想定外だったのは確かです。

    ――ネットの掲示板でも「安過ぎる!」と話題になっていましたね。

    ええ。正直、バッシングだらけか賛否両論になると思っていたのですが、ごはんどきの定額制に対しては肯定的な声がほとんどでしたね。実は以前、よそのホール様も併設食堂の定額制をやっていたのですが、ご存知でしたか?

    ――記憶にございません……。

    その定額制は確か「カレーとラーメンだけ」といった感じで、特定のメニューだけが対象だったわけです。それに対してごはんどきは「まずはフルスペックでやってみよう」ということで、ほぼ全部のメニューを対象にしました。

    ――それがウケたんだと思います! ちなみに、どんなメニューが人気でしたか?

    最初はやはり単価の高い生姜焼き定食(900円)が人気でしたが、最終的にはさほど偏ることなく、色々と食べていただけました。でも、ずっと飽きずに生姜焼きを食べ続ける方もいらっしゃいましたよ。得をしたいという気持ちだけでは、そんなに食べ続けられないはずですから、やはり味が良かったのだと思います。

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    ――定額制の利用にはマルハンの会員カードが必要となっていましたが、定額制のために新規で会員カードを作る方はいらっしゃいましたか?

    それはほとんどいらっしゃらなかったと思います。ホールの客寄せではなく、ホールから食堂への誘引率を上げるための施策ですから、非会員の方には特に呼び掛けていませんでした。
    会員カードを必須としたのはご本人様確認のためです。定額制をやる際にリスクとなるのが「使い回し」で、その対策として会員カードは便利でした。

    ――低貸ユーザーの呼び込みは成功しましたか?

    確実に増えたという実感があります。あと、男性だけでなく、女性のお客様も少数ですがいらっしゃいました。ご夫婦で利用されていたようですね。

    定額制の全国展開はありえるのか!? これからのごはんどき

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    ――ネットの掲示板では「うちの地域でもやってほしい」という声が多く出ていましたが……。

    もう一度別の地域で試してみようと計画はしています。ただ、定額制を継続的にやっていくつもりはありません。あくまでお客様に知ってもらう為の施策です。あまりに安いと価格破壊になってしまいますし、利益を取ろうとすると魅力的ではなくなりますので。定額制の値段設定は本当に難しいんです。でも、あれこれ考えても、実際にやってみないと何もわかりませんから。

    ――誘引率を上げる策として、定額制以外にはどんなことを計画していますか?

    今はお昼時がピークなので、夜の客数を増やす方法はないかと考えています。「15:00以降限定の定額制」というのも一つの選択肢ですね。
    それと、世の中全体のテイクアウト需要の増加に応えたいと思っています。ごはんどきもすでにテイクアウトをやっていて、定額制はテイクアウトもOKだったのですが……あまり利用される方はいませんでした。

    ――ただ知らないだけで、あるなら使おうと思う人はいそうですよね。定額制なら特に!

    あとは、出前も視野に入れています。

    ――定額の出前があったら相当喜ばれますね!!コスト的には大変そうですが(笑)

    そうですね。でも、高齢社会ですから、需要はあるはずです。
    新しい取り組みをやると、現場は大変になります。定額制を始めた時も、現場が大忙しになって、スタッフからは「二度とやらないでほしい」なんていう声が上がってきました。新しいことをやるのは確かにストレスがかかるものですが、人間はそれを乗り越えた時に成長すると考えております。

    ――定額制を経験されたスタッフの皆さんは大きく成長されたことでしょうね。私もマジで見習わないと……。今後、ごはんどきがどんな取り組みをされるのか、楽しみにしています。本日はありがとうございました!

     

    格安の定額制で大きな話題を呼んだマルハンダイニングのごはんどき。ホール併設食堂の枠組みを超え、一飲食店として大きく飛躍していきそうな予感がしました。マルハンには行っても、ごはんどきに行ったことがなかったという方は、ぜひ一度足を運んでみてください! きっと味にもご満足いただけるはずです!

    P-Summa編集部

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