【取材】100種類を超える!? 小役カウンター「勝ち勝ちくん」の歴史

2024/07/30

特集

  • kachikachitop
    皆さま、小役カウンターはお持ちですか? パチスロで設定狙いをするなら、ぜひ持っておきたいアイテムですよね。P-Summa編集部員も5号機『新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~』の頃に購入したものをずっと使っています。小役カウンターの中でも代表的な「勝ち勝ちくん」について少し調べてみたところ、なんと16年以上もの歴史があることがわかりました。勝ち勝ちくんはこれまでどんな変遷を辿り、どれぐらいの種類が作られてきたのでしょうか? パチスロ必勝ガイドの片岡さんにインタビューさせていただきました。

    初代「勝ち勝ちくん」誕生秘話


    ――本日はよろしくお願いします。早速ですが、初代「勝ち勝ちくん」を開発しようと思ったきっかけをお聞かせください。

    1990年代の中頃だったでしょうか。当時、我々がホールでパチスロを打ってデータを取る時は、コインを積んで小役を数えていたんです。

    ――物理的にカウント!

    それが、1990年代の後半ぐらいだったと思いますが、別の会社から「パチパチくん」というアイテムが発売されて、データ収集が格段に楽になりました。パチスロの小役カウンターはあれが元祖だと思います。

    ――それで、パチスロ必勝ガイドでも独自に開発しようと……?

    いえ、最初はそういう考えはなかったんですよ。当時は我々のように職業的にデータを取る人間が使うものという認識で、一般ユーザーが欲しがるとは思っていませんでした。4号機時代は「差枚数カウンター」という「小役補正機能」を搭載している機種が多かったので、小役の出現率自体は設定推測要素にならず、数えるのは雑誌の関係者ぐらいだったんですね。ところが、5号機時代になって小役出現率に設定差のある機種が出始めたことから、パチパチくん以外にも小役カウンターが発売されて、一定の需要はありそうだと見て、2008年に初代「勝ち勝ちくん」を発売しました。

    ――発売当時の反響はいかがでしたか?

    非常に良かったです。初回から結構な数を作ったんですが、売れては再販を繰り返していました。

    ――とあるユーザーのブログで「品薄だった」と書かれている記事もありましたし、大反響だったんですね。

    流通経路がほぼコンビニのみでしたからね。1店舗あたり2~3個で、大量に置かれることはなかったので、地域によってはすぐ商品がなくなって、なかなか手に入らないこともあったかもしれません。

    ――勝ち勝ちくんのデザインでこだわったことはありますか?

    奇をてらわずシンプルに、“定番”という感じでまとめました。ほどよいサイズ感を意識していましたね。

    ――ボタンの配列はずっと「白・赤・緑・黄色」ですが、この順番はどのように決まったのでしょうか?

    これは、左から設定推測に重要な小役の色を置いたんだと思います。その後何度もバージョンアップしましたが、使用感が変わらないよう、ボタンの位置はずっと変えずにきました。

    勝ち勝ちくんの進化の歴史


    ――先ほどバージョンアップしたというお話もありましたが、勝ち勝ちくんはどのように進化してきたのでしょうか?

    バージョン「2.0」で、打ち始めゲーム数自動計算機能が付きました。初代は自分で打ち始めゲーム数を引かないといけなかったのが、最初に入力すれば自動で計算してくれるようになったんですね。続いて、2009年に発売したバージョン「2.1」では長押しでの高速カウントが可能になり、液晶はよりクリアに見えるように改良しました。

    ――少しずつ機能が増えていったんですね。

    変化が大きかったのは2010年の「3.0w」です。ART機が流行り出して、カウントしたいものが増えてきたので、2画面(2段ディスプレイ)にしました。バージョン名の「w」はダブルの意味です。それと、特定役からのART突入率などを一発で計算するリンクモードも追加しました。機能面では現在もこの3.0wがベースとなっています。

    ――約2年でほぼ最終形態まで漕ぎつけたわけですね。

    ただ、当時の我々は「2画面はオーバースペックじゃないか?」とも思っていたんです。たとえばジャグラーを打つならそんなにボタンは要りませんからね。そこで、シンプルな1画面の「STD」(スタンダード)というバージョンも引き続き販売していました。ところが、3.0wのほうが圧倒的に売れたので、2011年を最後にSTDの開発は終了しました。

    ――高機能な2画面のほうが人気だったとは、当時のART機の盛り上がりが目に浮かぶようです。

    2012年からは、押した時に発光する「LED」というバージョンを作り始めました。

    ――この機能は個人的にとても助かります! 今ちゃんと押したかどうか、感触だけだとわからないことがあるんですよね。ところで、よくあるデバイスのように、薄型化は目指さなかったのでしょうか?

    プラスチック製品なので、ある程度の厚みがないと強度を確保できないんです。本体が薄いと反ってしまうんですね。実は、初期の頃は電池の部分が膨らんで滑り止めのゴム足より胴が下に来てしまったという事例もあり、その後改良しました。2019年からは、今までの機能をすべて保持したうえで、見やすさをより追及した「クリア」を発売しています。

    勝ち勝ちくんのコラボの歴史


    ――勝ち勝ちくんはコラボアイテムも多数販売されていますが、最初のコラボは何だったんでしょうか?

    時期的には「2.1」と「3.0w」の間で、ツインエンジェルかエウレカセブンが最初だったと思います。ツインエンジェルは遥・葵・クルミにテスラとナインも加えて、計5デザインを作りました。エウレカは携帯電話にストラップで装着できる仕様でしたね。

    ――いずれにしてもサミーの遊技機とのコラボですね。

    こちらからサミー様に持ちかけました。付き合いも古いので話はすんなり通り、嬉しいことにかなりヒットしました。

    ――その後、マジカルハロウィンや戦国乙女などともコラボされていますが、一番売れたのは、どの勝ち勝ちくんですか?

    販売期間が長くなるほど数も出るので、一概には言いにくいのですが、大きな改良を行った時にはかなりの数を製造しました。ツインエンジェルは強かったです。ほかにも戦国乙女やマジハロも人気商品でした。パチスロのために生まれたキャラクターは人気がありますね。でも、コラボで一番売れたのはミリオンゴッドかもしれません。かわいいキャラはいなくて、小役に設定差も無いんですけどね。
     


    ――GOD図柄のデザインが受けたのかもしれませんね。

    もっとも、コラボ商品はあくまでもファン向けのものであって、数が出るのは一般のシリーズです。中でもブラックカラーは、一番人気があります。

    ――黒は汚れが目立ちにくいから……でしょうか?

    一時は白とかピンク、イエローとか水色も出したんですが、明るい色のものよりは黒などの目立たない色が好まれるようです。

    ――カラーバリエーションやコラボアイテムも入れると、勝ち勝ちくんは全部で何アイテムぐらい開発されてきましたか?

    100は超えていますね。

    ――すごい……!

    スマホ時代の勝ち勝ちくんのポジションとは? 今後の展望を聞いてみた


    ――パチスロ必勝ガイドでアプリを開発される予定はありますか?

    以前は勝ち勝ちくんのユーザー向けに、機種を選んでカウントした数字を打ち込むと各設定の期待度がわかるツールを作っていましたが、今はやっていません。新台がどんどん出るのに短命で終わってしまうものが多いからですね。それと、アプリでカウントするのもいいと思うんですけど、スマホって雑に扱えないじゃないですか?

    ――そうですね。精密機器ですし、液晶にヒビが入ったりします。

    “勝ち勝ちくんは高級品であってはならない”という考えもあるんです。ホールで落としてもまぁ平気というか、ちょっとぞんざいに扱えることにも良さがあると思うんですよね。

    ――確かに勝ち勝ちくんは頑丈ですし、うっかり落としてもスマホほどのダメージはないですね。

    気軽に扱える、それが勝ち勝ちくんの優位性だと考えています。あと、台そのものに小役を数える機能が搭載され始めたことも影響ありますね。本気で攻略しようとしている方はみんな使っていますからね。

    ――QRコード一つで正確なデータがわかるから、確かに便利ですね。

    勝ち勝ちくんは攻略面でも役立ちますが、一つ持っていると安心する“お守り”のようなものになりつつあるのかもしれません。

    ――勝ち勝ちくんの新しいバージョンは計画されていますか?

    機能的には、ほぼ完成しているという認識ですが、ユーザー様のほうから、こういう機能があったら嬉しいなどのご意見があれば、新しい展開も考えていきたいです。ただ、先ほども申し上げた通り「雑貨」の域を出ると使いにくくなってしまうので、高機能化が価格を押し上げてしまうのは避けたいですね。各メーカー様とのコラボも、ユーザー様に喜ばれそうなものがあれば引き続き検討していきたいです。

    ――個人的には、「ラブキューレ」とのコラボが来たら買わせていただきます(笑)。本日はありがとうございました!

     

    5号機時代の盛り上がりに間違いなく貢献していた「勝ち勝ちくん」。最近は自動で数えてくれる機種も増えましたが、自力でポチポチしながら台と向き合うのもオツなものです。気に入ったデザインのものがあれば、一つポケットに入れておくのはいかがでしょうか?

    勝ち勝ちくんの購入はこちら!

    P-Summa編集部

    勝ち勝ちくんの年表

    2008年
    初代「究極攻略カウンター勝ち勝ちくん」発売
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくん2.0」発売

    2009年
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくん2.1」発売
    サミーの「ツインエンジェル」や「エウレカセブン」と初コラボ ※2009年~2010年頃

    2010年
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくん3.0w」発売
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくんSTD」発売
    コナミの「マジカルハロウィン」とコラボ ※2010年~2011年頃

    2011年
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくんSTD」生産終了

    2012年
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくんLED」発売

    2016年
    平和の「戦国乙女」とコラボ

    2017年
    サミーの「ツインエンジェルBREAK」とコラボ

    2018年
    平和の「乙女マスターズ~空を翔る白き軌跡~」とコラボ
    コナミの「マジカルハロウィン6」とコラボ

    2019年
    「究極攻略カウンター 勝ち勝ちくんクリア」発売
    ユニバの「GOD」とコラボ

    2021年
    サミーの「ディスクアップ」とコラボ
    ユニバの「HANABI」とコラボ

    2022年
    パイオニアの「ハナハナ」とコラボ
    山佐の「ニューパルサー」とコラボ
    サミーの「キリン柄」や「アラジンAクラシック」とコラボ、ツインエンジェル「水着バージョン」発売
    ユニバの「沖ドキ!DUO」や「バーサスリヴァイズ」とコラボ、「キャラCLASSICバージョン」発売
    ネットの「チバリヨ-30」とコラボ

    2024年
    コナミの「マジカルハロウィン8」とコラボ
    サミーの「エウレカセブン」と再びコラボ

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