七匠という新興メーカーから発表されようとしているパチスロ『ベルセルク』
昨今の版権物psの氾濫はあらゆるコンテンツジャンルに広がっているが、この機種も例に漏れず大人気漫画の原作である。
大きなリラックススペースのあるホールなら単行本を置いてある店も多く、マーケティング的にも無難な版権選択と言えるかもしれない。
なるほどベルセルクという漫画は面白い。
厨二心を蘇らせてくれるダークファンタジーの世界観が良いし、ちょっとエロいのもエッセンスの一つだ。
だが、今回編集部が物申したいのは、あの一連の映画についてである。
今回、貴重な休みを使って一気観してみたのだが…
2012年2月4日に『黄金時代編Ⅰ覇王の卵編』が封切られ、一年で一挙『ドルドレイ攻略』『降臨』と黄金時代3部作を公開していった。
レーティングは原作の過激度に沿った形で徐々に挙げられていったが、はっきり言って気に入らない。
よくも、貫通した骨太の人間ドラマを3つにぶった切ってくれたな!という怒りである。
大人の事情があった。と言われてしまえばそこでおしまいだが、ダラダラと3部作にするためなのか原作にないシーンを盛り込んだと思えば、重要なサブキャラが出てこなかったり、「長くしたんだから、丁寧にやってくれよ!」とおねだりしたくなってしまう内容だった。
「パチンコサイトの編集ごときが偉そうに映画の講釈をたれるんじゃない!」と、お叱りの声も聞こえてきそうだが、わざわざTSUTAYAに寒い中足を運んだのだ、ファンとして文句をいう権利くらいはあってもいいというものだ。
(「いやいや、お前ファンなら映画館いけよ」言わればそれまでだが)
映画を原作に忠実に作る必要は全くないし、新シーンがあるのも楽しめる要素の一つではある。
しかし原作の世界を守りつつアニメ映画として新しい表現を取り入れていくというは非常に難しいことなのだということがよく分かる。
やはり、そこには冒険譚でありながら、作ってる側は冒険しにくいというジレンマが生まれている。
単行本で読む時のダークファンタジーの世界へ没入していく感覚がCGで再現できているかといえば必ずしも大満足とは言えないのがこの映画だ。
やるなら大批判を受けるくらいの新しいシーンを盛り込んで欲しかった。
戦闘シーンは実によく作りこまれていて、臨場感や迫力は原作を圧倒するものだ。
だが「それがどうした。」といってしまいたくなるのは、ハリウッド映画や他のアニメーション映画でトリッキーなバトルシーン中毒となっている現代人特有の物足りなさなのかもしれない。
さらにセックスシーンもちゃんと盛り込まれいて「でかした。」と褒めてあげたいところだが淫靡な感じはあまり伝わって来なかった。
それは単に筆者自身が現代にあふれるハードエロに慣れた、ただのエロガッパである公算が高く、作り手側の責任ではない。
“ガッツの目の間でキャスカがグリフィスに…”なシーンだが、そういう設定を筆者がかなり見慣れてしまったいたことを深く陳謝したい。
しかし「蝕」シーンはさすがに良く出来ており、絶望感が息継ぎすることなくテンポよく表現されている。
化け物たちも個性豊かで異常な暗黒世界が正確に蠢いて、一連の作品の締めくくりのカタルシスは充分に昇華しているだろう。
しかし見終わったあとのスッキリ感は皆無である。
3部作を一気鑑賞した場合、ただただ味わったことのない疲労感と虚無感が残るのがこの作品といえる。
乾いた現代社会で、さらに心の乾きを求めるのならこの作品はうってつけである。
スロットベルセルクには、ぜひとも映画にも原作にもない全く新しい爽快感を期待したいものである。
P-Summa編集部