【取材】2020年に向けてホールはどう変わる!?ピーアークの受動喫煙対策

2019/06/12

特集

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    半年ほど前から、紙タバコと電子タバコの二刀流となったP-Summa編集部員です。愛煙家の方はご存知の通り、健康増進法の一部を改正する「受動喫煙防止法」が成立し、2020年4月から施行予定、パチンコホール内は原則禁煙となります。
    それを聞いた時、喫煙者の編集部員は、正直ネガティブな感想を抱いたものですが、最新鋭の「喫煙ルーム」を開発しているコマニー株式会社への取材を通じて、考えを一新。健康的にパチンコを打てるなら、それはそれでアリじゃん! と前向きに受け止めることができました。

    では、全国のパチンコホールは来るべき2020年に向けて、どう変わろうとしているのでしょうか? タバコを吸われる方もそうでない方も、各ホールが完全禁煙となるのか、喫煙ルームを設置するのか、はたまた条件付きで電子タバコOKとするのか、気になる方も多いはず!

    ということで今回、1991年からホールでの受動喫煙対策に取り組んでいるという「ピーアーク」を取材させて頂きました! 業界でもいち早く分煙・禁煙化に着手した同社は、ホール禁煙化について、どんな考えを持っているのでしょう? コミュニケーション戦略部の奥谷さん、飯澤さん、中川さんにお話を伺います。

    ピーアーク パチンコホール分煙・禁煙化の歴史

    ピーアークの分煙化への取り組みは1991年に始まったと言います。まだCR機が出回っていない時期、「分煙」という考え方もほとんどなかった頃に全面禁煙ホール「ピーアーク谷中」をオープン。
    休日には遠方からの来店も多く、賑わいを見せたそうですが、平日の稼働が伸びず、残念ながら数年で断念してしまったそうです。
    1991年といえば、JR駅のホームでもタバコを吸えた時代ですからね……時代を先取りしすぎたということでしょうか。

    しかし、2003年には受動喫煙防止を義務づけた「健康増進法」が施行され、世間的にもタバコの副流煙による健康被害に関心が集まってきます。ピーアークのお客さんからも、『パチンコは好きだけどタバコは嫌い』『服に嫌な臭いが付く』『タバコは吸うけど他の人の煙は嫌だ』などの意見が年間100件以上寄せられたそうです。
    それらを受けて、すべてのお客さんが快適に楽しんで頂けるような店内環境を目指す「パチケット宣言」を2006年に開始。まずは遊技フロアの10%を禁煙にする取り組みから始めたとのこと。

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    さらに2007年、「ピーアーク銀座」を25日間かけて全席禁煙ホールにリニューアル。ノンユーザー・スリープユーザーを対象にした“パチンコをやらない理由”アンケートで、常に上位を占める「タバコの煙」「うるさい」「遊び方が分からない」に対して改善策を打ち出したホールとして、業界の注目を集めたそうな。
    ピーアーク銀座の反響を受けて、その後も「ピーアーク ピーくんプラザ」「ピーアークAile」といった禁煙ホールも展開していったそうです。

    ユーザーからの反響は?

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    というように、かなり早い段階からパチンコホールの分煙・禁煙化を進めていたピーアーク。特にピーアーク銀座は、全席喫煙可から全席禁煙となったわけですから、喫煙ユーザーからの反発も多かったのではないでしょうか? タバコを吸わないお客さんが増えたとしても、下手したら全体の稼働率は下がってしまうような……。

    ところが、禁煙化したあとも稼働率は変わらなかったと言います。さらに女性のお客さんは飛躍的に増加し、女性比率が50%を占めたのだとか。う~ん、なんか色んな意味で良い匂いのホールになったんですね……!

    それについて奥谷さんは、『おそらく離れてしまわれたお客様もいたかと思いますが、禁煙ホールを求めて他県から通って頂けるお客様も増えました。環境面での負の要素を払拭したからこそ、成し得た増客であると感じております。また、店外に喫煙ルームを設置したことで、変わらず通い続けて頂けるお客様も大勢います。全体的な稼働率に変化はなくとも、お客様一人ひとりの満足度は上げられたのではないでしょうか』との回答。

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    また、同社では喫煙可能店舗にも喫煙ルームを設置するといった取り組みを「ピーくんガーデン」「ピーアーク北綾瀬」「スタジオピーアーク」「ピーくんステージ」の4店舗でしており、そこでは遊技フロアでタバコを吸えるにも関わらず、喫煙ルームまで足を運ぶ方が多くいるのだとか。

    ユーザーからは、『喫煙ルームならまわりに気兼ねなくタバコを吸える』『きれいな環境で遊技できるのは、やっぱり良い』といったポジティブな意見を多く頂いたそうです。
    もちろん最初の頃は、『いちいち喫煙ルームまで行くのは面倒くさい』という意見もあったそうですが、『慣れれば良い気分転換になる』という声が次第に増えていったとのこと。

    喫煙者にとっては、『遊技中にタバコを吸えなくなるのは嫌だ! 』と受動喫煙防止法をネガティブに捉えてしまいがちですが、先人たちが言うようにタバコを吸う側にとってもメリットが大きいのであれば、あまり身構える必要はないのかも知れませんね! そして、非喫煙者の皆様はより快適な遊技ができることでしょう。喫煙者側の見方ばかりして、本当にすいません。もう遊技フロアでは吸いませんので……。

    2020年に向けて重要さを増す「喫煙ルーム」

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    上述の通り、ピーアーク銀座は喫煙ルームを設置することで、全席禁煙ホールになった後も変わらない稼働を見せました。さらに同社では、2018年に受動喫煙防止法を意識した禁煙ホール「ピーアークAile」をオープン。
    店内に3名ほどが利用できる喫煙ルームを3ヶ所設置し、タバコを吸う方にも吸わない方にも快適なホール環境を実現。また、「ピーアーク スタジオ3」では、喫煙ルームを男性用と女性用に分けるといった取り組みも始めたそうです。

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    それについて飯澤さんは、『お客様からのご意見で男女別の喫煙ルームをつくったわけではなく、お客様一人ひとりが、よりリラックスできる環境でタバコを楽しんで頂きたいという想いで、このようなかたちとなりました。男女別ルームとは別に共用の喫煙スペースも設けているので、お好きな環境を選んで楽しんで頂きたいですね』との回答。

    続けて、『2020年に向けて、全国のホールは完全禁煙にするか、全席禁煙で喫煙ルームを設置するか、条件的に可能であれば電子タバコを可とするか、対応が迫られています。弊社では、これまでの受動喫煙に対する知見と各店舗の状況、客層を考慮し、一律で同じ対応をすることなく、店舗ごとにお客様が求めるかたちでの営業をする所存です。各々の対応をいつ実施するかは慎重に検討中ですが、喫煙ルームの設置などは早めの対応が必要なため、すでに準備を進めております』と語ります。

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    確かに、2020年になってから慌てて喫煙ルームを設置しようとしても、4月に間に合わない可能性がありますからね。吸う側から見れば、紙タバコも吸えるホールに通いたいという気持ちは強いです。他の大手チェーンなども、店舗によって喫煙・禁煙環境が変わってきそうですね。

    最後に中川さんは、『分煙・禁煙対策との向き合い方は簡単ではないですが、実は私たち業界側がネガティブ要素だと思い込んでいるだけで、チャンスになり得る要素もたくさん含んでいるはずです。今後、各ホールがどう向き合っていくかが、業界全体を盛り上げる意味でも重要だと思っています』と語られました。

     

    受動喫煙防止法施行が迫るなか、いち早く分煙・禁煙対策に乗り出していたピーアーク。吸う方にも吸わない方にも快適な空間を、という同社の理念を体現したホールが次々と生まれていくのを見ると、2020年を迎えるのが楽しみでもあります。このようなホールが増えれば、業界全体のイメージアップにも繋がるかも知れませんね!

    P-Summa編集部

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