【取材】元祖アイドル店員あゆちゃんまん & プロデューサーやじお氏に伝説の始まりを聞いてみた

2021/05/28

特集

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    在宅勤務になってから、女の子と話す機会がめっぽう減った、というかゼロになったP-Summa編集部員です。突然ですが皆さま、パチンコホールで「アイドル店員」と呼ばれている方々をご存知でしょうか? 2020年あたりから話題になり始め、ホールに新しい風を吹かせている彼女たち。その活躍はパチンコ業界の枠を超え、一般的なメディアでも取り上げられています。
    そんなアイドル店員たちの頂点を決めるべく、京楽は昨年12月に「ぱちんこアイドルスタッフNo.1決定戦‼」を開催。5ヶ月に及ぶ長い戦いがついに決着し、アリーナ川口店のあゆちゃんまんが見事、初代女王に輝きました。
     


    そして、あゆちゃんまんをプロデュースしているのは「やじお氏」と呼ばれる謎の人物で、アイドル店員ブームの火付け役と言われています。モー娘。につんく♂さん、AKBや乃木坂に秋元氏がいるように、アイドルとPは切っても切れない関係……ならば、お二人に話を聞いてみたい!
    ということで、今やすっかりおなじみとなった「アイドル店員」誕生の経緯と未来について、あゆちゃんまんとやじお氏にインタビューしました!

    「アイドル店員」の始まりとは?


    ――本日はよろしくお願いします! まずは女性店員による宣伝を始めたきっかけを教えてください。

    やじお氏:スタートは今から3年半前でした。当時、僕はアリーナ川口店でチーフとして働いていたんですが、川口はホールの広告宣伝に関してかなり厳しい地域なんですね。それで、まだ誰もやっていなくて、規制にも抵触しない新しい宣伝方法はないか? って考えていたんです。そのときにふと、「AKBみたいに会いに行ける店員がいてもいいのでは?」と閃きました。

    ――その際、抜擢したのがあゆちゃんまんということですね。ズバリ、抜擢の理由は?

    やじお氏:端的に言うと、感覚的なものです。

    ちゃんまん:マジてきと~ですよこの人(笑)。

    やじお氏:店舗でよくお客様と話しているのを見ていましたし、お客様から「明るい子だね」というお声もいただいていました。その明るいキャラをぜひ活かしてほしいな、と。
     


    ――あゆちゃんまんはやじお氏から頼まれた時、どう思いましたか?

    ちゃんまん:元々SNSが好きだったので、全然抵抗はありませんでしたね。応援しているアイドルグループのファンと人たちと繋がるために、個人でTwitterやっていましたし、アリーナ川口店の前に働いていたホールでもFacebookとかブログの担当をしていました。あと、中学・高校ではmixiとか(笑)。

    ――懐かしい(笑)。

    やじお氏:「アリーナ川口店」のTwitterアカウントは元々あって、別のスタッフが担当していたんですが、それをあゆちゃんまんに引き継いでもらった形です。当時のフォロワーは200人ぐらいだったでしょうか。

    ――あゆちゃんまんが担当になって、すぐに成果は現れましたか?

    やじお氏:それなりに成果は出ましたけど、スタートから2~3ヶ月は満足いく結果は得られませんでした。最初はごく普通の宣伝に、あゆちゃんまんが花を添えているだけだったんです。

    ちゃんまん:確かグランドオープンからちょうど1周年で、リニューアルオープンの宣伝とかやりましたね。

    やじお氏:普通にやっていても今ひとつ跳ねないので、思い切ってアカウント名をあゆちゃんまん個人にして、プライベートなことも呟いてもらうようにしたんです。そこから急激にフォロワーさんが増えていきました。ある日、インカムで「『あゆちゃんまんいますか? 』というお客様が来ています」って言われた時のことは鮮明に覚えています。「ああ、このやり方で合っていたんだ」って。今ではすっかりアイドル店員っていう概念が定着しましたけど、当時はまだそういう文化はなかったですからね。

    あゆちゃんまんの“素”に迫ってみた


    ――遅ればせながら、アイドルスタッフNo.1決定戦、優勝おめでとうございます!

    ちゃんまん:ありがとうございます! 実は「アイドル店員」って呼ばれること自体ちょっと恥ずかしくて、本当は出たくなかったんですけど……せっかくお声掛けいただいたのと、アリーナの名を残したいと思って、出場させていただきました。

    ――もし第2回があったら……?

    ちゃんまん:もう出ません(笑)。アリーナ美女木店の栞織ちゃんの応援に回ります。「頑張れ~」って。
     


    ――では、Twitterの運用を任されてから現在までで、印象深かった出来事は何ですか?

    ちゃんまん:いっぱいあるんですけど、最近だと長崎のひばりんごさんのお店に呼んでいただいたことですかね。私、何故か九州のフォロワーさんが多いんです。

    ――それは一体どうして……?

    ちゃんまん:わかりません(笑)。

    やじお氏:謎です。

    ――九州男児に刺さる何かがあるんでしょうか。

    ちゃんまん:どうなんでしょう? でも女性のフォロワーさんも多いんですよ。それで、当日は大勢の方が会いに来てくださって、今までの活動が認めてもらえたんだ! と実感できて、嬉しかったですね。
     


    やじお氏:本来、というか現時点でも、ただの店員ですからね。

    ちゃんまん:ただの店員です(笑)。

    やじお氏:ただの店員をあんな風に歓迎していただけるというのは、僕としても感慨深かったです。

    ちゃんまん:あとは普段、常連のおじいちゃんに「Twitter見てるよ」って言われたり、遠くから遊びに来てくださる方がいたりして、本当にありがたいなって思っています。

    ――「ぱちんこアイドルスタッフNo.1決定戦」では、ライバルの情報を一切入れないようにしていたとのことですが、ついつい意識しちゃう人や目標とする人物はいますか?

    ちゃんまん:特にいないですね。あ、DMMぱちタウンの結愛さんのTwitterを見ていて、対応の仕方が丁寧でこの人すごいなって思いました。それで、自分も最初は丁寧めに対応しようと思ったんですけど、ちょっとキャラに合っていなくて無理でした(笑)。結愛さんは自然にやっていらっしゃるので本当にすごいと思います。あと、ライバルって感じじゃないですけど、栞織ちゃんよりは上の立場でいたいです(笑)。

    ――個人的にパチンコはお好きなんですか?

    ちゃんまん:別に……なんですよ(笑)。パチンコってどういうものか全然知らずに、ただ時給だけが目当てで18歳の時から働き始めましたから。パチスロもゲームセンターでまどマギを打ったのが初でした。コンテンツ自体が好きなので、まどマギ・バイオハザード・化物語のパチスロは結構打ちましたね。あとジャグラーとかも打てます。

    ――パチスロ専門なんですか?

    ちゃんまん:そうですね。パチスロならメダル入れれば絶対回るじゃないですか。パチンコはスタートに入らなかった玉が無駄になっちゃってる気がして……(笑)。

    ――分かります! けど! それ、店員さんが言っていいんですか(笑)。

    ちゃんまん:でも、試打に呼んでいただいて打つのは好きですね! わからないなりに楽しいです。

    ――試打会はどこからお声がかかるんですか?

    やじお氏:実は以前、パチンコ系の出版社やサイト運営会社で働いていまして、今でも連絡を取っている知り合いが結構いるんです。試打会には昔の仲間から直にお誘いいただいた形ですね。

    ――まどマギ・バイオ・化物語以外で、好きなコンテンツは?

    ちゃんまん:最近は『呪術廻戦』にドハマリしてます! 私、アニメで特定のキャラにハマるってこと今まであんまりなかったんですけど、呪術廻戦の狗巻棘くんは、何かいきなりめちゃめちゃ刺さって、グッズとか超集めてます! 呪術廻戦がパチスロ化したら超打ちます!

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    ※あゆちゃんまんの狗巻棘グッズコレクション! P-Summaのためにわざわざ撮影して送ってくれました(笑)

    ――いいですよね~呪術廻戦! フリーズ演出はぜひ「無量空処」を使っていただきたいです。ちなみに、タイアップ済みのコンテンツだと……?

    ちゃんまん:「闇芝居」とか好きですね。以前、アリーナのYouTubeの企画で、お店を真っ暗にして最大音量で打ったんですけど、あれは本当に怖かったです(笑)。
     

    ――昨年から「iDOL課」(旧:SNS事業部)に異動になったそうですが、接客メインから裏方メインとなることに葛藤や不安はありませんでしたか?

    ちゃんまん:特になかったですね、ホールから遮断されてしまうわけではないので。最近は動画の編集とか、外注の編集さんへの割り振りや直しの指示なんかをやっているんですけど、ずっとパソコンカタカタやっているのが無理なので、疲れたらフラッとホールを一周して、常連さんやフォロワーさんと喋ったりしています。あと、最近は午前中だけ、普通にホールで働いていますしね。

    やじお氏が他店のアイドル店員をプロデュースする理由とは?


    ――やじお氏はアリーナだけでなく、他店のアイドル店員さんもプロデュースされていますよね。けっこう異例だと思うんですが、その理由とは?

    やじお氏:ありがたいことにあゆちゃんまんが人気者になって、アリーナで自分のやり方が通用することはわかったので、これが他の法人様でも同じように通用するか知りたかったんです。

    ――そんな理由だったんですか!?

    やじお氏:こう見えて承認欲求強いので(笑)。

    ――「プロデュース」というのは、具体的にはどんなことをされてるんですか?

    やじお氏:アリーナの子たちに関しては、もうみんなやり方をわかっているので、教えることは特にありません。案件を持ってきたり、YouTubeの企画やグッズを作ったりと、バックアップに徹しています。他の法人様の場合、本人にはツイートの仕方や写真の撮り方、モチベーションの保ち方等々、管理者の方にはリスクマネジメントの方法をお教えしています。
     


    ――会いに行ける……となると、色々リスクが生じますよね。

    やじお氏:ええ。始めるのはいいことだと思うんですが、安易な考えで始めてしまうのは結構危ないんです。私がプロデュースする時は、危険人物がリプライやDMを送ってきた時や店舗にやってきた時、どうやって担当の子を守るか、詳細なマニュアルを作ってお渡ししています。

    ――リスクマネジメントやツイートの方法論が確立したのはいつ頃ですか?

    やじお氏:2年半前ぐらいだったでしょうか。実は私、アリーナに来た当初はTwitterのことよくわかっていなかったんです。

    ――そうだったんですか!? ツイートを見る限り、玄人のように見えましたが……。

    やじお氏:努力の賜物です(笑)。あゆちゃんまんのツイートの仕方や投稿時間、フォロワーさんがお店に来た時の対応を見て勉強しました。リスクマネジメントもツイートの方法論も今はある程度固まったんですが、アップデートは日々続けています。

    最近の「アイドル店員」事情


    ――アイドル店員さん、爆発的に増えていますよね。

    やじお氏:ここ1年で一気に増えましたね。全国で550~600人、店長アカウントも含めると1500とか2000人になると言われています。コロナ禍の影響で今までのような広告が打てなくなって、それでSNSで発信するのが手ごろだったんでしょうね。

    ――あゆちゃんまんプロデュースの成功は、ホールの会員数増加や稼働の向上に繋がりましたか?

    やじお氏:はい。具体的な数字は言えませんが、会員様の数は増えましたし、稼働も前年比でアップしています。

    ――しっかり繋がっているんですね。では、アイドル店員は今後さらに増えるのでしょうか?

    やじお氏:2年後には、もう当たり前のものになっていると見ています。まだやっていないなら早めに始めて、ライバル店より一歩でも二歩でも先に出ておいたほうがいいですよ~……とも思っています。

    ――そもそも、アイドル店員はやじお氏の発案ですよね。業界でアイドル店員がどんどん増えていることに対して、「パクリやがって」みたいな気持ちはなかったんですか?

    やじお氏:まったくないですね。「俺らの真似が増えてるじゃん」、「すごいね~」って感じです(ドヤ顔)。

    ――他店舗でのプロデュースは、現在も受付中ですか?

    やじお氏:ええ、TwitterのDMでもいいですし、会社に電話していただいても結構です。どしどしお待ちしております!
     


    ――正直、こうやってお話する前は、Twitterのプロフィール画像みたいな胡散臭いプロデューサーなんだろうな~って思っていましたが(笑)実際にお話してみると、理知的で紳士的な方だと感じ……。

    ちゃんまん:(遮って)全然紳士じゃないですよ! 胡散臭い人でしたって書いといてください(笑)。

    やじお氏:見た目が胡散臭いとはよく言われますね。話してみたらそうでもないとも言われるんですが。

    ――では、アイドル店員に向いているのはどんな人だと思いますか?

    ちゃんまん:やる気があって、楽しんでやれる人ですね。普段からよくお客様とお話ししている方が向いていると思います。SNSでの文章なんて何でもいいんですよ(笑)。

    やじお氏:あゆちゃんまんは、はっきり言ってSNSの天才なんです。

    ――天才!

    やじお氏:あと、ミカド五反野店のあんこちゃんもですね。この2人は天才です。最近アイドル店員を始めた人って、「あゆちゃんまんやあんこちゃんになりたい」って子が結構多いんですけど、目指すのはおすすめしません。同じ方向性でそれなりのところまで行けるかもしれませんけど、絶対に抜けませんから。彼女たちを真似るのではなく、自分だけの強みを探したほうがいいです。僕がプロデュースする場合は、強みの伸ばし方と強みを活かしたフォロワーの増やし方も一緒に考えていますね。素養としては、承認欲求が強い子のほうが伸びやすいです。
     


    ――あゆちゃんまんが普段、Twitterで気をつけていることは?

    ちゃんまん:いつも元気に……ってことですかね。フォロワーさんのイメージを崩さないようにとは思っています。ただ、元々暗くはないですし、キャラを「作る」っていうのは無理なので、素のままでやってます! 素が一番ですよ、ボロ出ないし(笑)。

    ――フォロワーを増やすコツ、何か触りだけでも教えていただけませんか?

    やじお氏:そうですね。企業秘密なのでなかなか言いにくいんですが……(笑)。

    ちゃんまん:自分の好きなことをつぶやくのがいいと思います。私の場合、同じアーティストのファンってことで仲良くなって、お店に来てくれた方もいらっしゃいました。

    ――「アイドル店員」をやっていると、嫌な思いをすることもあると思いますが、どう対処していますか?

    ちゃんまん:見たくないものはとりあえずミュートです。見なきゃいい話なんで。落ち込むこともあるんですけど、そういう時はひたすらYouTube見たり、自分の好きなことをしたりして、一晩寝たら大抵のことは解決しますね。

    ――YouTube企画でこだわっていることや気をつけているは何かありますか?

    やじお氏:動画に関してはまだ1年ぐらいしかやっていない新参者で、試行錯誤の段階です。気にしているポイントは日々変わりますね。

    ――企画は誰が考えているんですか?

    やじお氏:「自分たちが面白いと思うことをやろう」っていう方針のもと、みんなでアイディアを出し合っています。とりあえず何でも撮影してみるんですが、しっかり編集した上で、お蔵入りにすることも多々あります。

    ちゃんまん:出してないやつめっちゃ多いですよね。編集大変なのに……(笑)。

    あゆちゃんまんとやじお氏が思い描く未来は? 今後の展望を聞いてみた


    ――では最後に、将来的にやっていきたいことは何ですか?

    ちゃんまん:今のところ明確に「これ!」っていうのはないですけど、とにかく新しいことにチャレンジしていきたいです。性格的にずっと同じことをやるのが苦手っていうのもありますね。

    ――後輩アイドル店員のプロデュースに興味は?

    ちゃんまん:そういうのもいいかなって思ったことはあるんですけど、責任を負いたくないので無理ですね。やじ氏みたいにカチッとはできないです。

    ――美女木店の栞織ちゃんにアドバイスとかはしないんですか?

    ちゃんまん:グッズの陳列で「こうするとかわいく見える」とか教えたりはしますけど、SNSに関しては特に何もないですね。

    やじお氏:僕としても今後、新しいことはどんどんやっていきたいですね。元祖アイドル店員のプロデューサーっていう自負はありますので、いつまでも一番を突っ走って、みんなに真似させたいです。
     


    ――ノウハウを知りたい場合は……?

    やじお氏:いつでもご連絡ください!(笑)

    ――これからも応援しています。本日はありがとうございました!

     

    いつも明るく自然体のあゆちゃんまんと、その魅力を発掘したやじお氏。アイドル店員という文化はこの二人から生まれるべくして生まれたんだと感じました。あゆちゃんまん本人は「アイドル店員」という表現を恥ずかしがっていましたが、彼女は間違いなく「アイドル」だと思います。この日のインタビューで編集部員もかなり元気を分けてもらえたので! お二人の今後の活躍も要チェックです。

    P-Summa編集部員

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