ホールに課せられた使命は『5.5号機の育成』

2016/09/08

特集

  • ho-ru0819
    来年、ホールが新しい時代に突入する。2017年10月以降に導入されるスロットは全て5.9号機(※1)になるからだ。

    1年後とはいえ、ホールは今から対策を練らなければ経営に支障をきたすことは否めない。

    現在、メイン機種として稼働しているのは、旧試験機にあたる『バジリスク絆』を始めとした5号機とAタイプの『ジャグラー』。

    2015年12月よりリリースされ始めた5.5号機は未だホールの看板機種の座を奪えずにいる。

    結果、ホールは旧式の5号機と5.5号機が数台ずつ設置されている大規模なバラエティコーナー化、つまり「総バラエティ化」となっているのが現状である。

    しかしこの「総バラエティ化」がもたらしたのは悪影響だけではないという。

    DK-SIS(※2)2016年6月のデータによれば、平均稼働を上回る機種は限られている一方で、一度は落ち込んだ機種の稼働が回復しているらしい。

    このことからユーザーは人気台を打とうとホールへ向かうものの、それぞれの設置台数が少ないため、お目当ての台に座れなかった時、消去法でメイン機種以外を打っていると推測できる。

    稼働が落ちていた機種が回復している現状を鑑みると、5.5号機に馴染めなかったユーザーが、その仕様を受け止め5.5号機に慣れてきたと言ってもいいのではないだろうか。

    しかし回復したと言っても、稼働の平均払い出し枚数が約9,000枚だと言われる中、現在は5,000~8,000枚程度にとどまっているという。

    払い出し枚数が平均を大幅に下回っていることから、ホールは5.5号機の稼働を伸ばしきれていないというのが現状だと言えるのではないだろうか。

    とはいえ一時的に落ち込んでいた5.5号機の稼働に一筋の光明が差し込んでいる今、ホール経営者がしなければならないことは、5.5号機の育成である。

    5.5号機がユーザーから敬遠される理由の一つに射幸性(※3)の低さがある。しかし、ホール経営者のXデーには、さらにギャンブル性を欠いた5.9号機でホールが埋め尽くされる。

    この5.9号機にユーザーを誘導するには、設定などをいれるなどして、まずは5.5号機に馴染ませることが必要なのではないだろうか。

    今後、緩やかになっていく遊技機の射幸性をユーザーに認識してもらうには、まず5.5号機をメイン機種として育て、射幸性の低さに馴染んでもらい、徐々に5.9号機にシフトさせるための施策を練らなければならない。

    1608_sama_3-3

    しかし、ホール経営者は5.5号機の育成に成功したからといって、経営の危機を免れるということにはならない。

    5.5号機の人気機種『SLOT魔法少女まどか☆マギカ』、『北斗の拳』といったビッグタイトルの連続導入でユーザーの関心を高めたり、ゲームやアニメ、映画など他媒体とのメディアミックスに注力したりするなど、ユーザーに遊技機を打たせる動機を与えることが、今後のホールとメーカーの課題と言っていいだろう。

    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

    (※1)【5.9号機】
    ARTの設定差がなくなる、3000枚リミッターを搭載するなどギャンブル性を抑えた機種のこと。

    (※2)【DK-SIS】
    ホールコンピューターの4割を占める企業。データを閲覧できる「データロボ」システムなどを手がけている。

    (※3)射幸性:ハイリスク・ハイリターンなスペックでギャンブル性を煽ること。

| TOP |