パチンコ&スロットをこよなく愛する業界人たちが今年導入されたパチンコ&スロット機の中から『愛すべきクソ台オブ・ザ・イヤー2016』を選出した。昨年、2015年は「クソ台豊作の年」と言われたが、今年はどうなったのだろうか?
2016年末にMAXタイプ完全撤去ということで、大量入れ替えを見越し、各メーカーが販売に力を入れた2016年。いつにもまして大量の新台がリリースされた。
2月にビスティが『エヴァ10』の甘デジタイプとなる『CRヱヴァンゲリヲン10 PREMIUM MODEL』を、
3月にSANYOが「原点回帰」をうたう『CR海物語3R1』を、
4月に西陣が人気ライトノベルとのタイアップ機『CR織田信奈の野望 MA』をリリースするなど、さまざまなスペック・演出の機種が登場した。
同一名・スペック違いを別扱いとすると、上半期は月平均15.5種もの新台が出ている。
8月にサンセイR&Dが豪華な歌パチ『CR PROJECT TK PP2-Y』を、
9月に豊丸が『CRセクシーフォールセカンドシーズン』3スペックを同時リリース。
11月にはサミーが人気アクションゲームとのタイアップ機『ぱちんこCRモンスターハンター4』をリリースした。
下半期は上半期を超え、なんと月平均17.3種もの新台が登場。ホールを大いに賑わせた。
数ある新台の中でも、4月にサンセイR&Dがリリースした『CR牙狼復刻版XX VV』や、
3月にニューギンがリリースした『CR真・花の慶次L6-K』などは、
MAXタイプの雄として君臨していたシリーズの新基準スペックとして注目されていたが、業界人たちの評価は「可もなく不可もなく」。これといった印象を残せなかった模様。
「はっきり言ってどれもパッとしない」という中、『愛すべきクソ台オブ・ザ・イヤー2016』パチンコ部門に選ばれたのは、4月にサミーがリリースした『ぱちんこCRスーパーロボット大戦OG』。
最大97%オーバーの高継続率を売りにしているが、それまでに突破しなければならない壁が非常に高いことに加え、「スーパーロボット大戦」なのに「バンプレストオリジナル機体のみ」のため、「がっかりする」、「知らずに打つと騙された気分になる」と指摘された。
パチスロ部門では、「クソ台オブ・ザ・イヤー2016」にノミネートされた機種を見ていこう。
まず最初に名前が挙がったのが、4月にエレコからリリースされた『アステカ ‐太陽の紋章-』。
業界人は「がっかり感がハンパない」と一蹴。4号機時代は名機と呼ばれた『アステカ』。復刻に大きな期待が寄せられていただけに、その落胆も激しかったと見える。
続いて、7月にオリンピアからリリースされた『パチスロ ルパン三世~消されたルパン~』の名が挙がった。
昨年9月リリースの『パチスロ ルパン三世 ロイヤルロード~金海に染まる黄金神殿~』のシマは、あまりに稼働がつかないため、「ロイヤル通路」という不名誉な異名が与えられた。それを挽回すべく登場した『消されたルパン』なのに、業界人からは今回も「通路」呼ばわりされてしまった。
2月にサミーからリリースされた『パチスロ偽物語』については、
「純増がヤバい」と指摘。A+ARTタイプだが、ボーナスは150枚、ARTは1Gあたり1.2枚で初回20G+CZ15Gと、出玉のショボさが批判の的となった。
鼻で笑いながら名前を挙げられたのは、8月にオリンピアからリリースされた『パチスロ ロストプラネット2』。
「どうやって出したらいいかわからない」、「劣化版月下雷鳴」と、さんざんな言われようであった。
2016年は人気機種の後続機が続々発表された。
9月にはメーシーが『SLOT魔法少女まどか☆マギカ2』を、
同時期にサミーが『パチスロ北斗の拳 修羅の国篇』を、
そして11月にはエレコが『SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~Ⅲ』をリリース。
いずれも事前の注目度は非常に高かったが、業界人たちはこれらすべてをクソ台と認定。「導入多過ぎ」と憐れんだ。『まどマギ2』と『バジリスク3』に対しては、「前身機がまだ現役で、新しい方を打つ理由がない」との指摘もあった。
機種の「性能」より「外見」に批判が集まったのは、1月に藤商事がリリースした『パチスロ緋弾のアリア』。
「フィギュアの造形がひど過ぎる」「打つ気になれない」「造形師を呼んでこい」と、ブーイングの嵐が巻き起こった。
また、6月に京楽がリリースした『ぱちスロ テラフォーマーズ』は、
「何を狙った役モノなのか分からない」、「笑いをとりいく方向を完全に間違えている」といった辛辣な意見が飛び交った。
10月にKPEがリリースした『パチスロ メタルギアソリッドスネークイーター』は、32インチフルHDフラットシームレス液晶・124ギガビット大容量液晶ROM搭載という、最新鋭技術を駆使した豪華な筐体だったが……
業界人たちの座談会であるにもかかわらず、「(評判が悪くて)打ったことない」という声さえ上がった。
また、ここでもう一度お呼びがかかったのが、『アステカ ‐太陽の紋章-』。演出批判として「マッピングなんちゃら」という暴言すら飛び出した。あれをプロジェクションマッピングとは認めたくないらしい。
「愛すべきクソ台オブ・ザ・イヤー2016」パチスロ部門は、
『アステカ ‐太陽の紋章-』と『SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~Ⅲ』が同率1位に輝いた。いずれもエレコからのリリースである。
「4号機と違い過ぎる」「演出がダサい」と叩かれた『アステカ』に対して、『バジリスク3』には具体的な批判すらないという体たらく。見なかったことにしようという暗黙の了解があるのかもしれない。
2015年は「クソ台豊作の年」と言われたが、2016年はそれを超える大豊作の年となってしまった。来年あたり、メーカー同士で話し合って「クソ台の減反」を検討してもらう必要がありそうだ。