「健康増進法改正」と「受動喫煙防止条例」の施行まで、残り約7ヶ月。パチンコホールの環境革命に備えて、紙タバコと加熱式タバコと電子タバコの三刀流! となったP-Summa編集部員です。最新鋭の「喫煙ルーム」を開発しているコマニー株式会社への取材を通じて、今後のパチ屋の禁煙・喫煙事情に興味を持った編集部員。
28年前から禁煙対策に乗り出していたピーアークや完全分煙を実現したエンジェルグループと続けざまに取材してきましたが、今回訪れたのは新宿駅西口から徒歩3分のところにあるカレイド新宿店です! 激戦区新宿で、いち早く禁煙化に取り組んだ同店は、2020年4月に向けて、どう変わろうとしているのでしょうか? 店長の北條さんにお話を伺います!
カレイド新宿店は1996年7月7日にグランドオープン。1階とB1階が喫煙可、2階のパチンコフロアのみ禁煙(喫煙所はアリ)という形態でスタートしたそうです。当時、禁煙の取り組みをしている店舗はほとんどなく、都内最大級の禁煙フロアとして、タバコを吸わないお客さんを中心に注目されたのだとか。
その後、さらなる取り組みとして、禁煙フロアにスロットも設置。会社帰りのサラリーマンや女性など、新しい客層を呼び込むのに貢献したと言います。
確かに、スーツやオシャレ着にタバコの臭いが付くのは嫌ですもんね。所帯持ちのサラリーマンなら、なおさらだと思います。「あなた、スーツがタバコ臭いんだけど、もしかして……」的なことも起こりかねません。
しかし、禁煙フロアを2階に設置したため、下からのタバコの煙が2階にまで来てしまうという問題が発生。グランドオープンから20年近く経っていたこともあり、2015年に大幅なリニューアル工事を行ったそうです。
生まれ変わったカレイド新宿店は、1階のパチンコフロアとB1階のパチ&スロフロアが完全禁煙、2階のスロットフロアのみ喫煙可という形態に。また、お客さんの記憶に残るようにと、オリジナルフレグランスのアロマを使って、良い香りがする空間を演出したのだとか。
そんな経緯でホールの分煙・禁煙化を進めてきたカレイド新宿店ですが、リニューアル後の評判は賛否両論だったと言います。
「2015年のリニューアル時、パチンコが打てるフロアをすべて禁煙にしたため、常連のお客様から『なんで禁煙にしちゃったの』という声を多く頂きました。もちろん、『空気がきれいで良い』といった意見もあったのですが、以前に比べてパチンコの稼働率は下がってしまいましたね。」と語る北條さん。
「それでも、禁煙フロア設置店の先駆けとして、さらにその先をいく試みが必要でした。パチンコフロアの全面禁煙もその一環ですね。ご存知のとおり、新宿は競合店ひしめく激戦区なので、他店との差別化が不可欠です。禁煙化を実施して終わりではなく、よりお客様に選んで頂ける取り組みは、今でも模索し続けています。その結果、ありがたいことに禁煙フロアの稼働も盛り返すことが出来ました。」
やはり、激戦区ともなると禁煙化だけでなく、複合的な取り組みが必須なんですね。では、お客さんから選ばれるホールとなるため、どのようなことをしてきたのでしょうか?
近隣の競合店とのさらなる差別化を図るため、カレイド新宿店は2017年に「カレイド女子」なるものを誕生させました。カレイド女子……通称、カレ女。なんとも華麗で優美な響きです……! そんな彼女たちは、 同店の女性スタッフで結成された「女性の、女性による、女性のためのホール作りを提案する」チームで、その活動は多岐に渡ると言います。
そのなかでも編集部員が注目したのは、お客さんの意見を取り入れつつ行う早急なホール改革。カレ女誕生から現在まで、およそ2年間の間に、女子トイレのアメニティの充実や女性向けコーナーの開設など、次々と新しい取り組みをスタートさせました。
この写真は、男子では決して入ることができない禁断の花園、女子トイレの中です。写真はもちろん、法にふれない方法で入手しましたよ、ええ。パウダールームには、ドライヤーやヘアーアイロンまで備えられております。
さらに、アロマやオシャレ感ただようものまで置かれており、インスタ映えしそうな雰囲気がプンプンです!
こちらは女性向けコーナーの一角。お姫様でも、おもてなし出来そうなソファーに……。
カレ女が厳選したという30代~40代の女性に大人気の漫画! パチ屋の漫画コーナーと言えば、「北斗の拳」とか「花の慶次」とか、漢! 的な漫画は必ずと言っていいほど用意されていますが、カレイド新宿店には無いんですね。徹底されています。ちなみに、女性向けコーナーとは言いつつも、男性でも利用可。編集部員も、ソファーに座って優雅な気分を味わわせて頂きました!
女性向けの貸し出しサービスも充実しており、ブランケットにクッションにフェイススプレーと豊富なラインナップ。こちらのサービスも、カレ女が考案したとのこと。
こういったカレ女による女性のためのホール作りと禁煙化がマッチした結果、競合店とは異なる客層を呼び込むことが出来たそうです。また、これらの取り組みは女性ユーザーだけでなく、男性ユーザーの集客にも効果があったのだとか。
女性ならではのきめ細やかなサービスが好評だったのか、それともメディアやSNSへの露出も多いカレ女目当てで来るお客さんが増えたのか、真相は定かではありませんが……多分、後者だと思います、ええ。健全な男子たるもの、可愛い女の子に接客されたほうが嬉しいですから!
禁煙化やカレ女の活動などで、競合店との差別化を図ってきたカレイド新宿店。では、2020年に向けて、どのように変わろうとしているのでしょうか? 引き続き、北條さんにお話を伺います。
「カレイド新宿店では、既に1階とB1階の禁煙化が完了しておりますので、残るは2階をどうするか? ですね。現在、喫煙ルームを設置するか、新たな仕切りを設けて加熱式タバコが吸える遊技フロアとするか、あるいはその両方を検討しています。さきほど申したとおり新宿は激戦区なので、競合店とは異なる方針を取る予定です。」
「設置機種についても、お客様からのご意見やフロアごとの稼働傾向をもとに、最適な配置が出来るよう心がけております。現在は、1階にメイン機種やミドルスペックの台、女性向けコーナーがあるB1階には女性支持率の高いコンテンツの機種やライトミドル・甘デジの台を多めに設置しています。スロットに関しては、B1階にはAタイプや比較的マイルドな機種、喫煙可の2階には荒波スペックを多めにという配置ですね。今後は自店舗だけでなく、他店の環境も大きく変わるので、よりお客様に選ばれるホールになれるよう努力を続けていきます。」
以前に取材したエンジェルグループでは、禁煙フロアと喫煙フロアとで、機種を出来る限り平等に配置する、といった方針でしたが、カレイド新宿店では意図的に変えているのですね! 最適解はホールによって違うということでしょう。そして、受動喫煙対策も着々と進んでいる様子。
最後に北條さんは今後の目標について、「これからも“おもてなし”のマインドを大切に、スタッフとお客様とが良い関係を築ける店舗を作っていければと思います。理想は、カレ女と女性のお客様との女子会をB1階にあるカフェで開くことですね! 」と笑顔で語られました。
2020年4月には、分煙・禁煙化が当たり前になるパチンコホール。そのなかで競合店との差別化を図るには、設置機種や設備の違いだけでなく、人の力が必要になるのかも知れません。カレイド新宿店とカレ女が、この先どのような進化を見せるのか、期待せずにはいられません!
P-Summa編集部