
デイサービスのグランドオープン!? 本格的なブラックジャックに麻雀、パチンコ・パチスロでも遊べるカジノ型デイサービス「ラスベガス」をご存知でしょうか? 2026年7月に東大宮店をオープンさせるなど、どんどん店舗数を拡大している要注目のデイサービスです。機能訓練などで獲得できる施設内通貨「ベガス」を使って遊べるのが特徴で、さまざまなメディアでも取り上げられているラスベガスですが、カジノゲームだけでなくパチンコも取り入れた狙いはどこにあるのでしょうか? そして、利用者に人気の機種とは? ラスベガスを運営している日本シニアライフ株式会社・代表取締役社長の森さんにお話を伺いました。
#デイサービス「#ラスベガス」を視察させていただきました。施設では、「既存のデイサービスを利用したくない方にも、新たな選択肢を提供したい」という理念のもと、欧米で広く知られている「ゲーミングの理論」を取り入れた、新しいタイプのデイサービスを運営されています。#相模原市 #戸田の会 pic.twitter.com/GHSvAfrhAb
— 佐藤太信(戸田市議会議員) (@sato_todacity) July 22, 2026
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、デイサービスにゲーミング要素を取り入れようと思ったきっかけをお聞かせください。
レクリエーションがつまらな過ぎたからです。
――おお、直球……!
長くデイサービスに携わってきた中で、レクリエーションがつまらな過ぎて利用したがらない方が大勢いるという現実を見てきました。それで「何か面白いことはないか」と、ラスベガスのカジノを見に行ったら、お客さんが高齢の方ばかりで、「あ、これじゃないか!」と。しかも、男女差がなく、夫婦やグループで和気あいあいと楽しんでいたんですよね。日本のデイサービスって本当に男性の利用者が少ないので、ラスベガスのカジノのようにみんなで楽しめる介護施設が日本にもあったらいいと考えました。
――では、施設内通貨「ベガス」を導入した理由とは?

要介護状態になると、買い物や家計の管理など日常生活で計算する機会が減りやすいんですよ。だから既存のデイサービスでは足し算・引き算のドリルをやったりするわけですが、「馬鹿にしてんのか」と怒る方もいれば、「こんな簡単な問題も解けないのか」と落ち込んでしまう方もいました。そんなわざとらしいことをやるより、国内で流通している「円」に合わせたベガスを使って遊べば、自然と計算ができるんです。1日2回の機能訓練で20000ベガスずつ入手できて、たとえばパチンコなら250玉で1000ベガス、つまり1玉4ベガスで遊べます。
―― リアルな数値ですね(笑)
私は大学時代、パチンコホールでバイトしていましたので(笑)
――スタッフの制服にもこだわっているんですよね。

雰囲気はめちゃくちゃ大事ですからね。しかし、ラスベガスのバニーガールみたいな衣装にするわけにはいかないので、雰囲気を壊さない、何かかっこいい衣装はないかといろいろ調べました。現在スタッフが使用している制服は、シンガポール航空のCAさんの制服がモデルになっています。

――対人ゲームである麻雀やブラックジャックだけでなく、一人で遊ぶパチンコ・パチスロも取り入れた理由をお聞かせください。
さっき「男性の利用者が少ない」という話を少ししましたが、高齢の男性って素直になれない方もいらっしゃるんです。こちらが用意したラスベガスの雰囲気になじめず、「帰るわ」ってなっちゃう方もいたりして……。
――あー……自分も人の輪に入っていくのは苦手なので、なんとなくわかります。
残ってくれたとしても、ただ椅子に座ってテレビを眺めているだけっていうのは寂しいじゃないですか。その点、パチンコってそもそも一人でやるものなので、一人でやっていても寂しくないんですよ。従来型のデイサービスだと、一人でぼーっとテレビを眺めている姿を見て、ご家族の方が悲しまれてしまうこともあるんですが、パチンコなら「うちの親父が遊んでいるぞ」って喜ばれることもあるんですね。パチンコを通じてラスベガスの雰囲気に慣れてきたと感じたら、対人のブラックジャックや麻雀にお誘いすることもあります。
――対人ゲーム参加へのステップになっているところもあるんですね。ホームページで拝見した「1日の流れ」だと、レクリエーションのメニューが決まっているみたいにも思えたんですが、実際にはもっとフレキシブルということですか?
はい、自由です。決まっているのは機能訓練の時間だけですね。あとはお昼ぐらいになったらお食事には誘導しますけど、ずっとパチンコを打っていてもいいんですよ。午前中はパチンコ打って午後はカラオケとか、麻雀打って3時になったらパチンコに行くとか。
――じゃあ、確変が続いてるのに時間だから終わりみたいなことは、ほとんどないわけですね(笑)。
それと、認知症の方って何がハマるかわからなくて、我々も手探りではあるんですが、パチンコに集中することで帰宅願望が和らぎ、施設で過ごしやすくなる方もいます。現在の主な利用者層は、パチンコに親しんでいた方も多いので、昔を思い出して熱中されているのかもしれません。

――日本シニアライフの直営店では、どのような機種を設置されていますか?
人気なのは「海物語」ですね。事前に近所のパチンコホールに行って、客数や機種別の稼働状況を数える「頭取り」をしたんですけど……。
――まさかここで頭取りという言葉を聞くとは思いませんでした(笑)。
やっぱり、高齢の方が好むのは「海物語」なんですよ。パチンコの導入を検討した際、社内で「実際のお金を使わなければ楽しめないのでは?」という意見もあったんですが、視察したホールでは1円パチンコ、特に海物語が多く遊ばれていました。それを見て、遊技そのものを楽しむ需要もあると考えたんです。
――スペックで意識していることはありますか?
以前は初当たり確率の重い機種を置いていたこともあるんですが、終日大当たりがなくて「二度と来るか!」って怒っちゃった方がいて……。
――リアルのパチ屋じゃないですか(笑)。
それからは甘デジメインにしました。
――甘海以外だと、何か人気の機種はありますか?
「トキオデラックス」や「羽根物大工の源さん」、「ホー助くん」などを一時期入れていて、なかでも「トキオデラックス」は好んで遊ばれる方が多かった印象です。利用者様からのリクエストで「牙狼」や「必殺仕事人」、「花の慶次」を入れていた時期もありました。
――入れ替えはどのぐらいのペースで?
利用者様の反応を見ながら、おおむね半年ごとに機種を選定し、入れ替えています。パチスロ好きな方がいらっしゃれば、そのリクエストに応えることもありますよ。
――パチスロは、やはり……?
主に「ジャグラー」ですね。GOGO!ランプが光ると気分が上がるのは年齢を重ねても変わらないんだと思います。遊技中の様子を傍から見ているだけでも、ペカったらドキドキしますし……(笑)。あと、「番長」シリーズを置いたこともありました。

――パチンコはけっこう音が大きいと思うんですが、施設内のどんな位置に置かれていますか?
直営店では、ほかのゲームコーナーから離して配置しています。入口付近に並べている店舗もありますね。パチンコって、10台くらい並べると楽しそうな雰囲気を出せるんですよ。既存のデイサービスには行きたがらない方でも、ラスベガスは明確に“遊び”だからテンションが上がるんだと思います。そして、遊びとは別に機能訓練も行うことで、しっかり体を動かせるわけです。
――パチンコを打ったことがない方でも遊ばれていますか?
はい。パチンコ未経験の80代女性の方がラスベガスで遊ばれて、「初めて打ったけれど、こんなに楽しかったのね」と喜んでいただいたこともあります。
――そういえば、豊丸産業さんが介護・福祉施設向けの遊技機「エアロビック・トレパチ!」を開発されていましたが……。
豊丸さんの「ナナシー」は大好きで、静音タイプの専用パチンコ玉は魅力的でしたけど、今のところ導入予定はないですね。エアロビック・トレパチは足でペダルを漕いで玉を飛ばすシステムですが、ラスベガスではレクリエーションと機能訓練を分けていて、レクの時はレクに集中という考えなんです。それと、初当たり確率が1/15とか1/30というのは、個人的には簡単過ぎると思うんですよ。
――では、大当たり確率などはホールに設置されていた台と同じですか?
はい。循環式のアミューズメント仕様ですが、大当たり確率や釘は変更していません。リアリティがあったほうがいいですからね。
――最後に、パチンコは利用者の方にどのような影響を与えているとお考えでしょうか?
利用者様の外出意欲を高めるきっかけになっていると感じています。認知症のある方でもパチンコに集中することで、施設内で過ごしやすくなるといった例もありました。脳科学者の篠原菊紀先生も「ラスベガスのレクリエーションを通じて脳が活性化した状態が見られた」とおっしゃっていますから、今後もうまく活用して楽しい場を作っていきたいですね。
――自分もいつかお世話になるかもしれません……(笑)。
元気なうちはホールに行ってください(笑)。
――確かに(笑)。それでは、本日はありがとうございました!
テレビなどでデイサービスの様子を垣間見たとき、「年齢を重ねたら、こういうことも楽しくなるのかな……?」と疑問に思っていましたが、やはり従来型のレクリエーションが合わない利用者もいるようです。一人でも遊べるパチンコ・パチスロが介護施設で役立っていたとは、この世界に携わる者としてちょっと誇らしいですね。
P-Summa編集部